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インタビュー

アートと人がつながる場所(後編)

2018.09.19

See Designing(シー・デザイニング)、shizukart(シズカート)/ 原井静香さん

 宮崎市橘通西1 丁目にある、大きくて丸い窓が特徴の可愛らしい建物。このビルの2 階にグラフィックデザイナーの原井静香さんが営むアトリエがあります。車や人の流れがこの窓を通して眺められる、この場所ではワークショップが行われたり、様々な人たちが静香さんに会いに足を運んでいます。

 後編は、独立後、様々な人が集まるアトリエを持つことになった静香さんの思いやこれからの話をお届けします。

See Designing(シー・デザイニング)、shizukart(シズカート)/ 原井静香さん】

宮崎県出身。宮崎県立佐土原高等学校デザイン科、九州産業大学芸術学部デザイン科卒。県内外のデザインやイラストなどを中心に活動。2017 年に宮崎市で行われた、こどもたちと一緒におみこしをつくる『地域対抗こどもアートプロジェクト笑みこし』や若草通で行われたイベント『若草ぱしゃり』の装飾を担当。ワークショップやライブペイントを通して、アートの楽しさや魅力を様々な世代の人たちに伝えています。

常に動いていたい、そんな思いを叶えた出発点

 皆さんは、アトリエと聞いてどんな場所を思い浮かべますか? 芸術家・美術家・工芸家・建築家などが、仕事を行う作業場のことを私は思い浮かべます。特にアーティスト活動をしている方のアトリエに興味があります。静香さんのアトリエに飾られている作品たち、着ている洋服、靴、ヘアゴムなど細かいところに好きなものへの丁寧さを感じました。可愛らしい大きくて丸い窓のそばで、木々に囲まれながらアトリエの誕生話など伺っていきました。

 静香さんがアトリエの運営を始めたのは2016 年。「その場で手を動かしてアイディア考えられる場所を作りたいと思って始めました。そして『shizukart』としての活動をするのに、アトリエがあることで幅が広がって欲しいという思いもありました」グラフィックデザイナーとして独立し、6 年目に創作活動の次のステージへ進むきっかけとなる場所が生まれたのです。 

 学生時代に創作活動していた経験から、次の活動に繋ぐために止まることなく行動をする静香さん。「常に何かしてないと、あ!あの人辞めたのかな?って思われちゃうと嫌なので」とニコッと優しい笑顔からは、想像できないほどの行動力をアトリエでも目の当たりにします。お話を伺った際に、『アプローチ展』と表したイベントが行われていました。展示作品は、テーマごとに壁や机に飾られており、食べ物や花など様々な作品が200 点。全て鉛筆で描かれており、使用している絵の具は金と銀の絵の具のみ。制作期間は約2 か月。毎日10 点以上描き続けて完成させたそうです。「創作活動をしていて、たまに自分がしたいことが見えなくなる時もあります。次はこんなことをしたいという思いを伝えるために、展示会を行いました。今回は少ない画材で作品ができることを知ってもらえるものばかりです。新たな活動が生まれるきっかけになると嬉しいですね」

 

アトリエから広がる創作活動の幅

 グラフィックデザイナーとして、アーティストとしてどちらでも応えられるように、常に機会をつくり準備をすることを、静香さんは欠かさず続けてきました。アトリエを始めてからも、動き続けていることで、ワークショップの依頼やイベント装飾のアイディアなど、創作活動の幅が広がっていきました。アトリエ開設時に理想としていたことも増えていったそうです。「イベント装飾のアイディアが欲しいと依頼が来た時。企画書の段階では具体的なことが全く決まっていないことが多いんです。アイディアのイメージを話すだけでは、伝わりにくいこともあります。そんな時は図面をかいて大きさや場所、装飾に必要なアイディアを具体的にしていきます。今までと違ってアトリエができたからこそ、その場でアイディアを共有できるので、応える幅も広がったのかなと思います」

動き続けて縁が繋がっていく

 作品を見た人に気づきや新たなアイディアが共有できる機会を作りだし、様々な活動を続けてきた静香さん。以前つくったzine という冊子がきっかけで、つながった出来事がありました。「私もびっくりしたんですけど、偶然わたしがつくったzine を見かけたという方から連絡が来たんです。その内容が、マタニティアートとして奥さんのお腹に絵を描いて欲しいということでした。幸せなことなので、声をかけてもらえて嬉しいと思い、マタニティアートについて調べてみました。そこで資格が必要だと知ったので、次につながる可能性を感じ資格を取得しました。まさか昔、作ったものからマタニティアートへとつながるなんてと、作ったものを見てもらう機会の大事さを改めて感じた出来事でしたね」昔の自分が今の自分をサポートする、それはまさに動き続けていた静香さんだからできることだと感じます。

 宮崎のまちなかにアトリエがあること、話しやすい雰囲気を作り出してくれる静香さんの魅力があるからこそ、人が集まる場所になっていると感じます。最後にアトリエを通してのこれからについて伺いました。「ものづくりがしたいと思っていて、アイディアが欲しい人に提案が出来る場所であり、ここから地域を彩るような展示や装飾ができるきっかけが生まれるといいなと思っています」

 静香さんのお話を聞いて、常に自分のしたいことを発信し続けて、準備をすることの大切さを改めて感じました。止まることなく、行動し続けることは簡単にはできないと思います。静香さんが今まで経験してきたことの積み重ねが、今のアトリエや創作活動へつながっているのだと感じました。

 今回、取材させていただいた静香さんが、ワークショップを行う予定のイベント【Picnic Zine it 2018】が、1117 日(土)に開催いたします。ぜひ、静香さんがつくりだす魅力的な空間を体験しにお越しください。

 

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