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夢なき青春から、挑戦の舞台へ。第62回技能五輪「敢闘賞」受賞!

CULTURE

宮崎観光ホテル 料飲サービスグループ レストランサービス技能士3級川口 朱音さん

\川口 朱音さんってこんな人! / ■第62回技能五輪全国大会「レストランサービス職種」敢闘賞受賞 ■高校を中退後、レストランサービスの世界へ ■素直さと感謝の気持ちを忘れずに そんな川口さんのこれまでの歩みとは?詳しく話を伺いました。

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アルバイトで出会った、飲食業。その魅力に魅了され

自己紹介をお願いいたします!
川口 朱音(かわぐち あかね)、宮崎市出身で2001年生まれの23歳です。 市内の小中学校を卒業後、宮崎第一高等学校高校電気科に進学。半年ほどで中退し、16歳からレストランサービスの仕事に就きました。 現在は、宮崎観光ホテルでレストランサービスを担当しています。
高校時代は電気科に在籍されていたとのことですが、当時はどのような目標をお持ちだったのでしょうか?
当時は夢や目標がない学生生活でした。「学ぶ意欲」よりも「経済的自立」という考えが強かった記憶があります。 また、私は5人兄弟の長女で、下に4人の弟妹がいます。今よりも子育て支援が少ない時代に、両親が5人の子育てをする中で、一人一人にかけられる労力に限界があると感じていました。 その経験から、より一層「早く経済的自立をしたい」という考えが強まりました。 当時、女性が重宝される業界として電気関係の仕事が挙げられており、手に職をつければ安定した収入が得られると思いました。学校からの勧めもあり進学しましたが、結局「好きか嫌いか」で考えたときに、電気の分野を好きにはなれませんでした。 そんなときに初めて派遣のアルバイトとして入ったのが、宮崎観光ホテルの宴会場でした。この仕事に出会ったことで、レストランサービスの世界に魅了され、就職を決意しました。
レストランという場所は、プロポーズやお誕生日、結婚記念日といった人生の大切な瞬間を共に過ごせる特別な空間。 お客様が繰り返し足を運んでくださることも多く、その信頼に支えられている業界だと感じました。 接客を通じて、自分が提供するサービスが人々の特別なひとときを支えられることに喜びを感じて、この業界への興味を深めるようになりました。
レストランサービスに情熱を見出されたのですね。アルバイトをされていた宴会場の仕事を始めてから、どのようにキャリアを積んでいかれましたか?
16歳から19歳まで宮崎観光ホテルで働いていましたが、一度退職。2021年に、第1子を出産しました。 その後、美容業界や写真撮影事業、ウェディング関連の仕事に携わりました。他職種を経験したことにより、様々な視点から飲食業の全体像を見ることができ、素晴らしい魅力があふれる飲食業に戻りたいと思いました。 息子が1歳半になった頃、2023年の4月に飲食業界に復帰することを決意しました。多くの方との交流も増え、復帰を応援してくだっさった皆様のおかげで、また宮崎観光ホテルでレストランサービスを再開することができました。

 

自ら発して、動き、掴み取った「敢闘賞」

第62回技能五輪全国大会「レストランサービス職種」への挑戦のきっかけを教えてください。
飲食業界に戻る中で、「もっとお客様に寄り添いたい」「信頼関係を築きたい」という思いが強くなりました。同時に、私の年齢で同職種で働いている人たちにも出会いたいという思いもありました。 そのタイミングで、当時の私を育ててくださった恩師から技能五輪への出場を勧められました。 実は17歳の時にも技能五輪への出場を試みましたが、達成することができなかった経験がありました。今回のお声がけを機に リベンジしたい気持ちが湧き上がりました。
具体的な競技内容について教えてください。
技能五輪では、モジュールAからDの4つの部門に分かれた競技が行われます。
たとえば、モジュールAでは90分かけて、テーブルセッティングからサービス、スパークリングワインやオードブルの提供、真鯛のフィルタージュ(※1)、チーズや食後酒のサービスまで行います。 モジュールBでは、カクテルの作成やフルーツカットが求められます。
モジュールCでは、フランベデザート(※2)の作成やシグネチャーコーヒー(※3)の作成。モジュールDでは、英会話でのオーダーテイクなど、多岐にわたる課題が設定されています。

※1…フィルタージュとは、魚の身を骨から綺麗に切り離し、取り分けることを指す

※2…フランベとは、食材に高温のアルコール類を注いで燃やす手法を指し、その手法を使って作るデザートをフランベデザートと言う

※3…シグネチャーコーヒーとは、コーヒー以外の素材を加えた創作コーヒー

実際に競技内でも作成したクレープシュゼット
課題は大会の3か月前に発表され、それに向けて準備しました。 特に、モジュールB〜Dは当日具体的な材料やレシピの指定があったので、幅広く練習しておく必要がありました。
短期間でそれほどの準備をするのは大変だったかと思います。どのように練習に取り組まれましたか?
競技内容が世界大会レベルに引き上げられた背景もあり、未経験の分野の競技も多く、練習は難航しました。 まずは、技能士の方に付きっきりで指導してもらいました。他にも、県内外問わず、同職種や大会経験者にお声がけさせていただき、相談に乗っていただきました。特に、東京で出会った関係者の方には練習を進めていくうえで多くのご協力をいただきました。 本番は、これまでやってきた練習の成果を80%程度しか発揮することができず、今思うと悔しさが込み上げてきます。普段とは違い、大勢の観客の前で披露するので、緊張感がありました。 正直うまくできなかった瞬間もありましたが平常心で自信を持ってやり抜きました。笑顔は誰にも負けていなかったと思います。
「敢闘賞」受賞が決まった瞬間はどんな思いでしたか?
もちろん嬉しかったです!しかし目指していた上位入賞には手が届かず、悔し涙を流しました。技能五輪は年齢的にリベンジはできませんが、今後は別の大会にもチャレンジしていきたいなと思っています。 また、上位入賞は沖縄県勢でした。沖縄は、レストランサービスの向上にかなり力を入れています。 宮崎も、食や環境、作り手のポテンシャルは素晴らしいけれども、まだまだ活かせていないと感じています。レストランサービスのレベルももっともっと向上できると思うんです。
川口さんが働く、宮崎観光ホテル「モダンフレンチ ディアマンルージュ」からの眺め
インバウンドのお客様も増えてくる中で、かなりチャンスも増えてきます。 私自身が高みを目指していきたいのはもちろんですが、今後私と同じような志を持った方たちに全面的なフォローをしていきたいと思っています。 宮崎のレストランサービス全体の底上げに寄与していきたいです。

人生史が1冊に詰まっている。叡智をインプットできる読書

お仕事の必需品はありますか?
モチベーションを保つために、「本を読むこと」を大事にしています。
レストランサービスやマーケティング、経済行動学や自己啓発など、幅広い本を読んでいるという
モチベーションをずっと維持できる人は、自然と成功に近づいていきますよね。でも、それを継続するのは簡単ではありません。本を読むことは、その人の人生や経験を短時間で学べる素晴らしい方法です。読み終えると「また頑張ろう」という気持ちになります。 ただ、大きすぎる目標を立てると不安が大きくなり、途中で迷ってしまうこともあります。だからこそ、手の届きそうな目標や、身近な成功例を参考にするのが効果的です。 また、本だけでなく、「この人すごい!」と思ったら実際に話を聞いてみるのもおすすめです。他人の成功体験やアドバイスを聞くことで、新たな道が開けることもあります。 モチベーションを上げる方法は人それぞれ。本を読んだり、音楽を聴いたり、人と話したりして、自分に合った方法を見つけるのが大事です。特に、先を行く人の話を聞くのは刺激的ですが、バランスを保つことも重要。 一歩ずつ進む感覚を忘れずに、自分らしいペースで歩んでいきたいですね。

失敗を恐れず挑戦を!素直さと感謝の気持ちを胸に

最後に、宮崎の若者へメッセージをお願いします!
若いうちは失敗をしても多くの方々がカバーしてくださるおかげで様々な挑戦ができ、成長につながると感じています。 失敗を恐れず、若手の特権を生かして挑戦し続けることが重要です。年齢を重ねると責任が増え、失敗が許されなくなるので、今のうちに経験を積んでいけるといいですよね。 また、人生で得られる成果や成功は一人では成し遂げられません。若いうちから「一人じゃ何もできない」ことに気づき、周りの支えに感謝することが大切です。今回の技能五輪もそうですが、たくさんの支えがあったからこそ受賞できました。今の自分は、皆さんあってこそ存在できる。その実感を忘れないようにしたいと思っています。 最後に、素直さと感謝の姿勢が未来を開くと思います。 日頃の業務にひたむきに取り組み、向上しようと努力する姿は、必ず周りの人が見ていてくれます。周囲のサポートを当たり前と思わず、感謝を忘れないことが、より良い未来へ繋がる鍵だと感じています!

 

 

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