ファッションとともに、自分らしく働くという選択
WORK
株式会社ターミナル リテール事業部山内 喬麗兵さん
\山内 喬麗兵さんってこんな人! / ■ 流されるままの学生時代。上京をきっかけにファッションへの関心が高まる ■ 大手セレクトショップに就職。基礎を学び、成長した日々 ■ 自分らしさを求めてUターン。仕事と暮らしのバランスが取れた人生へ そんな山内さんの歩みとは?詳しく話を伺いました。

流されるように過ごした学生時代。東京で芽生えたファッションへの情熱
自己紹介をお願いいたします!
こんにちは、山内 喬麗兵(やまうち きょうへい)と申します。1997年5月8日生まれの27歳です。
宮崎市出身で、現在は株式会社ターミナルのリテール事業部で主にCollect(コレクト)の店舗運営に携わっています。
山内さんの学生時代についても教えてください。どのような日々を過ごされていましたか?
小学校は地元の小松台小学校、中学受験をして私立の中高一貫校に進学し、そこで6年間過ごしました。
高校時代は進学コースに在籍していて、いわば「勉強しろ」と言われる環境だったんですよね(笑)。
ただ、特に大きな目的や目標はなく、流されるまま過ごしていた部分が大きかったです。
大学は消去法で選び、神奈川の私立大学に進学。環境学を学びました。理系の学部で、土木やまちづくりについて勉強していました。
いつ頃からファッションに興味が湧き始めたのでしょうか?
大学進学で上京してからでした。正直、東京に行くまでは私服に気を使うことも少なかったです。
上京後は、「ダサく見られるんじゃないか」と不安を感じるようになり、ファッションへの関心が高まりました。
東京での生活がファッションとの出会いを変えたんですね?
はい。友達や先輩たちが服好きだったことや、買い物に行く中で「自分をもっとカッコよく見せたい」と思うようになりました。
その中で、中目黒にあるお店で素晴らしい店員さんに出会ったことが大きかったです。
その方は、ただ話をするだけじゃなくて、服の素材やプロダクトのこだわりについて詳しく教えてくれました。その姿勢に感銘を受け、ファッションの奥深さを知ることができたんです。
その出会いが現在のキャリアに繋がっているんですね。ちなみに、その頃はどんな服を買っていましたか?
今思えばめちゃめちゃな服を買ってました(笑)。でも、その時の「これが一番良い」と思った気持ちは大切だったと思います。
大手セレクトショップでのキャリア形成。自分らしさを求めてUターン
ファッション業界に進むきっかけは何だったのでしょう?
大学3年生の夏頃、周りの友人たちがインターンや就職活動を始める中で、建設コンサルやIT企業なども視野に入れていました。でも、自分のテンションが全く上がらなかったんです。
その一方で、アルバイトで古着屋に勤め始めたことで、同世代の仲間たちが服を仕事にしていく姿に影響を受けました。
そして思い切ってアパレル業界のインターンに挑戦し、大手セレクトショップでの仕事を掴むことができました。
就職活動のときに大事にされたことはどんなことでしょうか?
「どうせやるなら好きなことをやりたい」と思っていました。
もちろん安定した生活や高収入も魅力的ですが、自分のメンタルやモチベーションを考えたときに、好きなことを仕事にする方が絶対に良いと思っていましたね。
社会人としてはじめての仕事はいかがでしたか?
まず新宿の店舗に配属されました。ちょうどコロナ禍に入った2020年で、研修も充分に受けられない中、現場に飛び込む形となりました。
新宿という大きな店舗で、多くの来店客に対応しながら、アパレルの仕事のリアルを知る日々でした。接客や商品知識、店頭のディスプレイの考え方など、実践を通して学ぶことが多かったです。
特に印象的だったのは、店頭でのスタイリングを考える仕事。自分なりにコーディネートを組み、先輩社員にプレゼンをするのですが、毎回厳しく指導されていました。
「洋服の合わせ方に正解はないけど、不正解はある」という言葉が印象的で、終電まで残って試行錯誤を繰り返しました。
厳しい日々でしたが、今振り返るとその経験が自分の基礎を作ってくれたと感じています。
宮崎にUターンされたきっかけはどういったことだったのでしょうか?
2年目の最後の方にはジョブローテーションという形で、軽井沢のアウトレットの店舗に行くことになりました。軽井沢は長野県の東端に位置する高原のエリア。自然も多く、別荘地も多い閑静な場所でした。
都内の忙しい環境から一変し、地方ならではのゆったりした空気の中、自然と「このような環境で働くのもいいかもしれない」と思うようになりました。そこで改めて自分の働き方を見つめ直しましたね。
都内でバリバリ働くスタイルもカッコいいけれど、自分には合わないかもしれない。追われるような仕事よりも、余裕を持って働ける環境の方が性に合っているのではないか。
そう思うようになり、地元で働くことを考え始めました。そして2022年、思い切って退職し、宮崎に帰る決意をしました。
帰省後、次の仕事を探していた時にWeb検索で見つけたのが「株式会社ターミナル」でした。アパレルの道を続けたかった自分にとって、これまでの経験を活かしながら、新たな環境で歩き出せるキャリアだと考えました。
「株式会社ターミナル」はどのような会社でしょうか?
株式会社ターミナルは、2010年に設立された宮崎市を拠点にファッションビジネスを支える企業です。
フルフィルメント事業部は、ファッションブランドやミュージシャン等のECサイト運営をワンストップで支援し、ブランディングを重視した販売戦略をサポートします。
さらに、私が所属するリテール事業部では直営店舗「Collect」「Savil」(宮崎市橘通東)とECサイト「COLLECT STORE」を運営しています。


株式会社ターミナル代表の大山真之介さんにもお話をお伺いします。起業のきっかけを教えて下さい。
大山代表:20代の頃、宮崎や東京のIT企業でWeb系エンジニアとして勤務し、ナショナルブランドの大規模サイトから中小企業のECサイト運営まで幅広く携わっていました。
そして2010年頃、30代に差し掛かるタイミングで現在の会社を立ち上げ、独立しました。独立のきっかけは、エンジニア時代に縁があり、ECと実店舗を融合した事業に関わったことでした。
ファッションは個人的に好きだったものの、ビジネスとして携わるのは未経験。さらに、会社を経営することなど想像もしていませんでした。
しかし、その仕事が今までで一番楽しく、心から好きだと感じたこと、そしてITスキルを活かせる確信があったことから独立を決意しました。
当時、地方のアパレルショップがECを本格的に運営する事例は少なく、「ファッション×EC」という分野での可能性を見出したことも大きな要因でした。
あまり宮崎では「ファッション×EC」という分野は当時なかったかと思います。売り先も全国に広がるので、より高いスキルや質が必要になるかと思いますが、どのように事業に取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
大山代表:そうですね、EC事業では特に、常に高いクオリティと数字へのコミットが求められます。
私もスタッフも、ファッション業界に限らず、他の業界の成功事例やテクノロジーを積極的に取り入れる姿勢を大切にしています。ビジネス書を読んだりセミナーに参加したりと、学び続けていますね。
また、スタッフには「業界の常識にとらわれず、どこに行っても通用するビジネススキルを身につけてほしい」と伝えています。
山内さんは「Collect」でどのようなお仕事を担当されているのでしょうか?

主な業務は、店頭での接客とInstagramの運営です。撮影から投稿まで一通り担当しています。また、時々バイイング業務にも関わることがあり、国内メーカーを中心に、主に東京で仕入れを行っています。

良い意味で控えめなスタッフが多く、お客様の気持ちを尊重する接客を大切にしながら接客できていると思います。お客様の好みやライフスタイルを理解した上で、その方に合った洋服を提案することを重視していますね。
職場の環境としても、個人の裁量が大きく、意見を尊重してもらえる文化があります。そのため、スタッフ一人ひとりが「お客様にとって最善の提案をしたい」という思いを持ちながら働ける環境が整っています。

地元宮崎での仕事はどうですか?
自分のペースで自分らしくやれていると感じています。
また、お客様との距離がとても近く、密なコミュニケーションが取れるのもいいですね。
私自身、もともと店員さんと仲良くなりながら買い物をするのが好きだったので、こうした距離感の近い接客ができる環境は、自分にとても合っていると感じています。
また、東京や大阪といった都市部と比べると流行のスピードは違いますが、お客様に寄り添った接客をすることで、どこにいても変わらない価値を提供できるのではないかと思っています。
今後の目標を教えて下さい。
これからも、お客様に「このお店に来て良かった」と思ってもらえるような接客を心がけていきたいです。
ファッションって、ライフスタイルとも密につながっていると思うんです。髪型だったり、身の回りの雑貨も、生活や在り方そのものもまるっと含めてその人の人生を形成する。ただ良い服着てるだけじゃ、おしゃれにはなれないんですよね。

今後は、美容や飲食とか、まちなかの他の業態の事業者とタッグを組んで、まち全体を盛り上げて行けたらいいなって思います。今開発も随所で進んでいますし。
例えば、美容師さんに施術してもらってうちでスタイリングして、写真撮らせてもらってインタビューしたりとか。みんなで連携して盛り上げていけたらおもしろいですよね。
ファッションを通じて、人生を豊かにするお手伝いがしたいです。
映画やサウナなど、自分の好きで自分の機嫌を取る休日
お仕事の必需品を教えて下さい。
モノリスのショルダーバック(SHOULDER STANDARD HEXA M)です。通勤の際や出張の際、プライベートでも大活躍してくれるバックです。
特に通勤用として重宝していて、便利さ、丈夫さ、収納力の高さはこれまで使ってきたバックの中で一番かと思います。普段は自転車通勤なので、ショルダーバックが個人的には良く、様々なシーン、服装に合うのも魅力の一つですね。
お休みの日はどのように過ごされているのですか?
休みの日は、「宮崎キネマ館」で映画を観たり、サウナでリフレッシュしたりして過ごしています。ラーメンも大好きなので、おいしいラーメンを楽しむこともありますし、思い切り寝て疲れを癒すことも。
自分の好きなことをして、しっかりと自分の機嫌を取るのが、私の休日の過ごし方です。
「どうありたいか」の軸を持ち、マイペースさを忘れずに
では最後に、大山さん、山内さんともに、これからキャリアを考える若者たちにメッセージをお願いします。
この20年で、ファッション業界を含む小売業はITやECの影響を大きく受けてきました。
特にコロナ禍では「リアル店舗はなくなり、すべてECになる」という極端な意見もありましたが、実際には、リアル店舗でも繁盛しているところは残り、逆に消えてしまったECサイトも多くあります。
つまり、トレンドを追うことも大切ですが、それ以上に「自分が世の中や地元に対してどうありたいか」「どんな価値を提供したいか」という軸を持つことが重要なのではないかと思います。
僕は父に「若いうちは給料より学びを」と教わり、まずは学びや経験を優先してきました。少し極端な意見かもしれませんが、そう思うと苦しい局面でもさほどストレスを感じずに乗り越えることができました。
ありきたりですが、若い人は「これなら情熱を傾けられる」と実感できる"コト"に行き着けるよう、目の前の人参では無く遠くにある未来を見て、色んなコトに飛び込んでみるのも良いのではないでしょうか。
僕は中学・高校時代は特に何かに打ち込むこともなく、のんびりと過ごしていました。
大学に進学してからも同じようにゆるく生きていましたが、その中で洋服という「好きなこと」に出会いました。それ以来、洋服に集中して生きてきて、改めて「好きなことを仕事にする」というのは、人生を楽しくする大きな要素の一つだと感じています。
ただ、仕事を頑張るだけではなく、ある程度マイペースに、余裕を持って生活することも大切だと思います。好きな友達と遊んだり、好きな場所に出かけたり、そういう時間が人生をより豊かにしてくれるはずです。
皆さんも、無理をしすぎず、自分のペースで頑張っていってほしいなと思います。
