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経験が生み出すのは、誰かや何かに惑わされない自分軸

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若草HUTTE & co-ba MIYAZAKI 店長今西 正さん

2017年8月11日にオープンしたカフェ&コワーキングスペース「若草HUTTE&co-ba MIYAZAKI」。宮崎市の中心市街地に位置し、老若男女問わず多種多様な人々が集う人気スポットです。 開店後、人通りが増え商店街の発展にも大きく寄与しました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、2021年10月に閉店します。再度オープンし現在に至るまでの経緯や思いを店長の今西正さんに伺いました。

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好きや楽しいに正直に。多様な経験がつながって

自己紹介をお願いいたします!
今西 正(いまにし ただし)宮崎県美郷町渡川地区出身、1978年8月生まれの44歳です。 宮崎市の「若草HUTTE & co-ba MIYAZAKI(ヒュッテアンドコーバミヤザキ)」で店長をしています。
宮崎市の中心街に位置する若草HUTTE & co-ba MIYAZAKI。1階はカフェ・物販スペース。
2階はコワーキング(様々な企業や個人が共用し仕事をするスタイル)スペース・イベントスペース。
3階はコワーキングスペースとして利用されている。
美郷町は、宮崎県の北部にある人口4500人ほどの小さな町。山に囲まれた自然豊かなところで、父は山師をしていました。
「山師」とはどんな仕事なのでしょうか?
簡単に言うと、山を未来につなげる仕事です。木々の伐採や、植林した木々が適切に育つように管理したり、土地を整えたりしています。自然の恩恵を受けながら、人間が手をいれることで山が持続するんですよ。
美郷町は自然が多く、都心部に比べるとお店は少なかったです。でもその分、ないものは自分たちで創り出し、楽しみを見出していましたね。自然は自分の思い通りにならないことも多いし、良い意味で自分でコントロールできないこともあるんだと学べていました。 渡川小中学校を卒業後、日向市の宮崎県立富島高等学校に進学しました。商業系の高校だったこともあり、卒業後は大原簿記公務員専門学校へ。税理士資格取得を目指していました。正直、なんとなくの流れで進学し、学んでいましたね。
ではまず、経理や税務関係のお仕事に就かれたのでしょうか?
いえ、ファッション業界に就職しました。当時、漫画家矢沢あいさんの「ご近所物語」にハマっていて。ファッションをテーマにした漫画だったんですが、憧れもありファッション業界に就きたいと考えるようになりました。 福岡県ならファッション系のお店も多いのではないかと考え、就職先を探しに福岡県へ行きました。数日かけて就職先を探し、見つけることができました。
そこから福岡県で働かれたんですね。
はい。ストリート系のファッションの販売員として3年半ほど勤め、服飾メーカーに転職。お店に卸す服の企画や管理など、一貫して担当していました。11年勤めた後、ご縁があって飲食店の店長を1年半ほど勤め、美郷町に戻り、山師として山の現場で2年間働きました。
戻ったのには何かきっかけがあったんでしょうか?
2011年に渡川小中学校が廃校。人口減少も顕著で、帰省する度に寂しくなっていく地元を目の当たりにし、同世代の方たちが美郷町のために動いている様子を見て「自分も何かしたい」と考えるようになりました。 そんなとき、美郷町に残り山師として働いていた弟に「地域の持続ために、山師として何か新しい取り組みを一緒にやらないか?」と提案されて。それがひとつのきっかけになりました。
「新しい取り組み」というのが若草HUTTE & co-ba MIYAZAKIだったんですね。
はい。山師として働く中で、美郷町の産物や情報を発信する場を宮崎市内にも作ろうと考えました。そして「山と街をつなぐ」をコンセプトに、ここをオープンしたんです。
1階のカフェスペースの一角には、現在、美郷町のみならず県内の生産者が手掛けるこだわりの品が多数並ぶ。
年間200件ほどのイベントが開催され、延べ5,000人参加。店舗には年間約12,000人のお客さんが訪れるほどになりました。様々なつながりやイノベーションが生まれる場になりました。

コロナ禍の閉店。利用者の想いを源動力に、リスタートを決意

新型コロナウイルス感染症が拡大したことで2020年のはじめ頃から生活様式が変わり、リアルで人が集まることが避けられるようになりました。 2年間はイベントもほとんどできない状態で、利用者も90%ほど減少しました。違う方向も模索しましたが難しかった。力不足でしたね。2021年10月に閉店することになりました。
閉店宣言をしたとき、数多くの人が存続を願ったそうですね。
はい、そうなんです。オンラインで50名ほどが集まり、存続するためにはどうしたらいいか話し合う会議を開いてくださったり。他にもたくさんの存続を願う声をいただきました。 こんなに必要としてくれる人がいるんだと感じましたね。もう自分たちだけのお店じゃなく、地域コミュニティのひとつなんだなって。
多くの声に後押しされ、再出発を決めたんですね。
元々、簡単に閉店を決めたわけではないですが、改めてどうにかして続けたほうがいいんだと思いました。弟が代表を務める法人で運営していたのですが、私個人が個人事業主として引き継ぐ形をとり、2021年12月に再度オープンしました。
お話を伺いながら、今西さんは「人を引き寄せ、求められる人」だと感じます。 コミュニケーションの中で、気をつけていることはありますか?
「この人と一緒にいると得だ」とか、利害関係で人付き合いをしないというのはありますね。あとは噂や評判で判断せずに、自分の目で見聞きするのも心がけています。陰口も言わないようにしてますね。
今後の目標はありますか?
自分の店のことだけじゃなく、地域や社会に少しでも貢献できると嬉しいなと思っています。 山にいると、何十年も前に木を植えてくれた人がいるから、この木を切ることができるんだなって感じます。商店街も、良いときも悪いときも支えてきた人がいるから存続できてる。歴史を紡いで来た先人がいるからこそ、今があるんだと思うようになりました。 私自身も自分なりのやり方で、未来に残せる何かのために動き続けていきたいですね。

目の前のことをやってみよう!自分だけの「軸」を持って

最後に、宮崎の若者へメッセージをお願いします。
自分が興味あることや好きなこと、チャンスが与えられたものなど、とにかく目の前のことを一生懸命やってみてほしいですね。何か生まれるかもしれないし、体験するからこそ納得できることがある。 その時は気付かなくとも、未来にいきることもあります。私自身、不便な美郷町で育ったからこそ、自分で創り出す力が身につき、企画力につながりました。一生懸命やっていると、同じ志の仲間も勝手にできますよ。 数多くの経験は「自分の軸」を作ります。自分の軸があると、挫折や失敗を経験しても乗り越えられる。世間の常識や他者からの評価に惑わされることもない。自分なりのぶれない軸を見つけてほしいですね。

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