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笑顔や幸せが巡る、花。もっと日常のそばに

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有限会社 奇日根 取締役児玉 光世さん

宮崎市でバラの生産をしながら、フローリストとしても活躍する児玉光世さん。2022年11月に幕張メッセで開催された「第60回技能五輪全国大会」では、フラワー装飾部門で2年連続の「敢闘賞」を受賞しました。生産から企画や販売まで、一貫して自らの手で手掛ける児玉さん。これまでの経緯や今後の目標について伺いました。

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農業経営を学び、技術を磨いた10代。技能五輪2年連続入賞へ

自己紹介をお願いいたします!
児玉 光世(こだま こうせい)宮崎市出身の23歳です。 代々家業として農業を営んでおり、祖父の代からバラの生産を始めました。父の代で法人化し、現在は私も役員として会社に関わっています。 主に、バラの生産をしながら、花を束ねて販売するフローリスト(花屋)としての仕事をしています。
2年連続の敢闘賞受賞、本当におめでとうございます。 それまでの経緯を教えてください。
幼い頃から、祖父から「跡を継いで農業するんだよ」といつも言われていました。そして、何の疑いもなく、宮崎県立宮崎農業高等学校へ進学。そこで、農家も「経営者」なんだと感じ、本格的に農業経営に興味が出てきたんです。 それから農業経営をしっかり学びたいと思い、東京都の日本農業経営大学校へ行くことを決意。ただ、その学校に行くには、2年間の研修が必要だったので、高鍋町にある宮崎県立農業大学校で2年間学びました。
そこでは、担当の先生の方針で「フラワー装飾技能士」という国家資格を取らなければなりませんでした。
「フラワー装飾技能士」とはどのような資格なのでしょうか?
主に生花をメインに、ブライダルブーケの製作、パーティーや葬儀場などの飾り、フラワーショップでの業務など、花の装飾に関わる技能の証となる資格です。装飾を施す技術はもちろんのこと、花の維持管理技術や植物一般、衛生面などの知識も必要です。花屋などで「職人」としての技能の証として認識されています。 その勉強をする中で、花を束ねたり、デザインするフローリストのおもしろさを知りました。そして、フラワースクールの先生に技能五輪出場を勧められ、19歳で初出場。銅賞を受賞しました。 宮崎県立農業大学校修了後は、日本農業経営大学校に2年間在学していたので、その間は出場できませんでした。しかし、宮崎に戻った後も自分の力を試すため、東京や宮崎のお花の先生方の指導を受けながら、技能五輪にチャレンジ。 結果は、昨年に続いて2年連続敢闘賞受賞。年齢制限があるので、今回が最後の出場となりましたが、チャレンジしてよかったなと思っています。
今年度技能五輪全国大会にて受賞した敢闘賞の賞状

外に出たからこそ得た知識で、新しい取り組みにチャレンジ

進路に迷うことなく、農業の道に進まれていますが、 違う仕事がしたいという気持ちになったことはなかったのでしょうか?
継ぎたくないというネガティブな気持ちになったことはないです。 日本農業経営大学校は、農業界のMBA(経営学修士)を目指すような学校で、課題として実家の経営状態を分析したことがありました。家業を客観的に分析し、改善の余地があると感じた時は、不安と共に「もっと良くしたい!」とやる気が出てきたことを覚えています。 第一線で活躍する経営者の話を聴くことができたのも、今の経営にかなり役立っています。
Instagramを拝見すると、直接販売もされているんですね!
そうなんです。花の生産に関わる資材の価格は高騰し、花そのものも高く売れない時代になっています。だからこそ、今までと同じことを続けるだけじゃなく、リスクを予想し、備えながら、自分だけの強みが必要だと思うんです。 市場に出荷するだけではなく、直接販売するなど、バランス良く経営ができるようになったらいいなと思い、オンラインでのバラの販売も始めました。
Instagram(https://www.instagram.com/kosei__kuhine/)
最近では、東京時代に研修でお世話になった「ボタニック」という会社の「LIFFT」というブランドとコラボさせてもらっています。「LIFFT」を通して、私が束ねたバラを産直の商品としてお届けするという花業界でも新しい取り組みにも力を入れています。
LIFFTオンラインショップ(https://lifft.jp/)
ご自身が感じる今のお仕事の魅力はどんなところでしょうか?
農業は、重労働の部分もありますが、体を動かして、自然に触れられるのはとてもいいなと感じます。そして、やっぱり自分で色々と決められるところが好きですね。植物が相手なので、植物の状態を見ながらですが、栽培も経営も試行錯誤しながら、選択の自由があることが、ストレスフリーだなと感じます。 そして何より、笑顔や幸せが循環している感じが好きです。 フローリストとして、花束をお客さんにお渡しするとき、そのお客さんはとても喜んでくれる。でもその方は、自分のためじゃなくて、渡した誰かが喜んでくれることを想像して、きっと笑顔になってくれてるんですよね。こんなにみんながHAPPYになる仕事って他にないなと感じます。

大きな夢だけが全てじゃない。目の前の好きや幸せを追求して

これからの目標をお聞かせください。
「花をもっと身近に、日常化させること」です。 特に若い人は、花は特別な時に買うものという意識がまだまだ強いと思います。でも、花があるだけで部屋がパッと明るくなったり、何でもないときにプレゼントしたら喜んでくれたり。花はもっと身近な存在になれる。 私の強みは、バラの生産者でありながら、フローリストでもあること。生産者の気持ちと花屋の気持ち両方がわかるので、私ならではの提案ができると思っています。将来店舗を持って、宮崎の人に合った価格帯やデザインで、もっと身近で飾りやすい花屋を目指したいですね。
若者へのメッセージをお願いします!
同世代の中でも、「自分のやりたいことがわからない」という人も多いのかなと感じることがあります。でも、大きな夢だけが良いとは限らない。 例えば、もしゲームをたくさんしたいなら、それを実現するために休みや給料などどんな働き方が適しているのか、そのために何が必要かを逆算して考えれば、どんなことも夢になり得ると思うんです。 自分の好きなことをきちんと把握して、自分の幸せのために行動していってほしいですね。

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