“スポーツランドみやざき”を支えるプロフェッショナルたち VOL.1~プロ野球キャンプ~
CULTURE
有限会社ボールパークドットコム増田 隆之介さん
“スポーツランドみやざき“の2月はプロ野球春季キャンプが行われ、一年で最も熱気を帯びる時期です。そのような中、今年の宮崎市生目の杜運動公園では、20回目を迎えた福岡ソフトバンクホークスの宮崎春季キャンプに県内外から多くのファンが詰めかけ、大変盛り上がっています。そこで今回、同運動公園のグラウンドキーパーとしてキャンプ期間中、プロ仕様のグラウンド維持に日々汗を流す有限会社ボールパークドットコムの増田隆之介(ますだ りゅうのすけ)さんにお話を伺いました。
■とにかく野球が好き
―自己紹介をお願いします。
「宮崎市清武町出身の32歳です。地元の高校を卒業後、有限会社ボールパークドットコムに入社しました。現在、生目の杜運動公園内で、アイビースタジアムや多目的グラウンドなどの施設管理をマネージャーとして担当しています。」
―グラウンドキーパーの仕事とは?
「一言で表すと利用者が気持ち良く利用できるグラウンドを提供していくことがグラウンドキーパーの仕事です。野球場の芝が伸びていたり、でこぼこしていたりすると、プレーヤーのケガにつながることがあるので、そこを利用しやすい状況に整備していくことが一番重要です。」
―グラウンドキーパーになるためには資格など必要ですか?
「特に資格は必要ないですが、野球が好きで、野球に関わりたい気持ちがあればできる仕事です。」
―増田さんがグラウンドキーパーになるきっかけは?
「子どものころから野球をずっとやっていました。とにかく野球が好きで、福岡ソフトバンクホークスのキャンプで、球拾いのアルバイトなどしていました。そのときにグラウンドキーパーという職業を知りました。そのアルバイトを一生懸命していたら、今の会社に誘っていただき、就職することになりました。」
―宮崎でグラウンドキーパーをして良かったことは?
「宮崎では、キャンプや「みやざきフェニックス・リーグ」(プロ野球秋季教育リーグ)などでプロ野球の球団関係者と関わる機会が多くあります。レベルの高いプロの世界を身近に感じることができるのが一番の財産です。以前、プロ野球球団専属のグラウンドキーパーとのつながりにより、沖縄で開催されたメジャーリーグのグラウンドキーパー講習会に参加することができ、貴重な経験になりました。」
■常に万全の整備を行う
―どのようにスキルを向上してきましたか?
「宮崎市の生目の杜運動公園や久峰総合公園、清武総合運動公園、延岡市の西階運動公園のグラウンド整備を私の会社が行っています。そのような中、特に福岡ソフトバンクホークス球団専属のグラウンドキーパーの方にプロの技術を教えていただくことで自分は成長できたと思っています。
また、4年前から2年間は清武総合運動公園も担当していましたので、(同運動公園でキャンプ実施の)オリックス・バファローズ球団専属のグラウンドキーパーの方と一緒に整備を行うことで多くを学びました。プロ野球球団の方々に育てていただきました。」
―仕事では何を意識していますか?
「一番はグラウンドを平らにすることです。経験値により手と足の感覚で、平らにします。球団の要望等により、マウンドの固さなどを機械で測ることもありますが、基本的には、手と足の感覚でベストの状態に持っていきます。」
―仕事の達成感を感じるときは?
「(選手や利用者から)何も言われないことが嬉しいです。グラウンド状態は良いことが当たり前という感覚で仕事をしています。もちろん、ほめてもらえることは嬉しいです(笑)。プロ野球のキャンプだけでなく、中学生や高校生から、普段使用しているグラウンドと違って綺麗だと言ってもらえるのはとても嬉しいですね。常に万全の整備をした状態で、施設を使用してもらうことを心がけています。」
―地元で働くことをどう感じていますか?
「実家が農家なので、幼いころから将来は農家になるだろうと考えていました。そういうこともあり、自然と県外で働くという選択肢はなく、地元で働くだろうと考えていましたが、好きなことを続けていたら、この仕事にたどり着いたという感じです(笑)。」
■培った技術を伝え、地元に還元していきたい
―“スポーツランドみやざき”をどう盛り上げていきたいですか?
「現在私たちが管理している施設だけでなく、県内の様々な学校のグラウンドでも、これまで自分が培ってきた技術を伝えていきたいです。プロ野球選手だけでなく、小・中・高・大学・社会人などいろんな世代の方が、普段から良いグラウンドコンディションで野球ができることで、プレーヤーの技術が上がっていき、宮崎全体が盛り上がるよう、将来につなげていきたいなと思っています。
実際に、インターンシップなどで生徒を受け入れ、整備の仕方やグラウンド管理について学んでもらっています。私が培った技術を、これからも地元の様々な場所で還元していくことで、さらなる“スポーツランドみやざき”推進の一助になればと考えています。」
―最後に、宮崎の若者たちへメッセージをお願いします。
「私もいろんなタイミングがあって、今の仕事についています。アルバイトでも何でも適当にやっていたり、手を抜いてやっていたら、誰からも声をかけてもらえないし、大切な出会いも失ってしまうと思っています。何事にも一生懸命に取り組んでほしいです。何でこんなことしているのだろうと思うこともあるかもしれませんが、全力で取り組む姿勢を示すと、その後につながっていくことが必ずあると思います。」
▼福岡ソフトバンクホークス球団専属のチーフグラウンドキーパー 徳永勝利さんに、増田さんたち地元のグラウンドキーパーへコメントをいただきました。
「彼ら(地元のグラウンドキーパー)がいるからプロ野球のキャンプを宮崎で行うことができます。いつもプロ野球に必要なレベルのグラウンド状態に整備してくれていることに大変感謝しています。
彼らが整備するこの素晴らしいグラウンドで、多くの地元の高校生や大学生たちが野球に打ち込み、宮崎全体の野球レベルが向上することを願っています。そして、以前からの私の夢は、宮崎の高校が甲子園で優勝することです。」