自ら動き、壁を乗り越える。困難を「強さ」に変えて
WORK
GMOドリームウェーブ株式会社甲斐叶華さん
「すべての人にインターネット」を合言葉にみんなが輝ける企業を目指して、障がいのある方と共にインターネット産業を支える、GMOインターネットグループの特例子会社「GMOドリームウェーブ株式会社」。様々な障がいのあるメンバーが切磋琢磨しながら、IT関係の業務に取り組んでいます。先天性の聴覚障がいを持つ甲斐叶華さんもその一人。これまでの経緯や業務内容、今後の目標について詳しく伺いました。
部活動で得た体力と集中力。今につながる力に
自己紹介をお願いいたします!
GMOドリームウェーブ株式会社に所属しています、甲斐叶華(かい きょうか)と申します。宮崎市出身、2002年生まれの21歳です。先天性感音性難聴という、生まれつきの聴覚障がいを持っています。
宮崎県立都城さくら聴覚支援学校を卒業後、GMOドリームウェーブ株式会社へ入社しました。現在、入社3年目です。
どんな学生時代を過ごしましたか?
部活動に熱中した学生時代を過ごしました。中学部ではバドミントン部、高校部では美術部に所属していました。
バドミントン部では、先輩たちに混ざって練習したり、大会にシングルスで出場するなどしていました。体力をつけるために、日々懸命に練習に励みました。美術部では、ゆっくりと時間をかけて集中し、自分の作品と向き合うことで、自分らしい制作ができたことがとても嬉しく楽しかったです。
現在の仕事に取り組む上で、体力や集中力は欠かせません。部活動で培った体力や集中力が、今の私をかなり支えてくれていると思います。
自立と成長をここで。多様なコミュニケーションを駆使して
GMOドリームウェーブ株式会社はどのような会社ですか?
GMOドリームウェーブ株式会社は、GMOインターネットグループの特例子会社です。特例子会社とは、障がいを持つ方が働きやすいように環境面・制度面ともに特別に配慮して設立された会社のことを言います。業務を行うメンバーと、その支援をするコーディネーターがおり、現在合わせて40名ほどが所属しています。
障がいのある方が選考を受ける前には、3日間~2週間の職場実習を必ず実施。業務体験やグループワークを通じ、業務内容や職場の雰囲気を知ってもらうことで、「心身のコントロールをしながら働くことができるか」「本当にやりたい仕事か」などを確認し、お互いにミスマッチがないようにしています。障がいの有無や内容に関わらず、みんなが安心していきいきと働くことができる環境が整っていると思います。
実際の業務では、身体的・精神的・知的など様々な障がいのあるメンバーが、「自立」と「成長」をキーワードに、みんなで協力しながら取り組んでいるのが魅力の一つです。
GMOドリームウェーブ株式会社へ入社したいと思ったのはなぜでしょうか?
入社前に学校の先生に紹介いただき、私も職場実習を体験しました。その際に、社内の雰囲気や設備、働く皆さんの印象など、全てがとても良いなぁと感じました。パソコンに関する検定も受けていたこともあり、ITへの関心も高い状態でした。
興味のある業種で、かつ自分が働きやすい環境だと思い、入社を強く志望しました。ここで頑張りたいという意欲を伝えるため、何度も何度も面接の練習を行いました。
現在はどのような業務を担当されているのでしょうか?
インターネット広告の動作テストや審査、グループ会社の取引先様の情報登録作業など多岐にわたる業務を行っています。入社後2週間ほど社会人としてのノウハウを学ぶ研修を受け、3ヶ月ほどの練習期間を経て、実際の業務に取り組んでいます。
専門性の高い分野なので、先輩方に教えていただくだけではなく、自分でわからないところはどんどん調べて知識や技術を身に着けていきました。難しい内容ではありますが、頑張るほど成果につながり、やりがいを感じることができています。
どの業務もチームメンバーと協力しながら進めていますが、コミュニケーションの部分で難しさを感じることもありました。
例えば、コロナが流行していてみんながマスクを着用していた時期には、口元や表情が見えなかったので、相手の話している内容が分からず、とても苦労しました。そんな時には、メモを使って筆談などでコミュニケーションをとるようにしていました。
普段の生活では、どのようにコミュニケーションをとっているのですか?
仕事では「手話」や「筆談」で会話をしています。両親とは、0歳の頃から手話のように手を動かして表現する「ベビーサイン」を使って会話をし、今は手話で会話をしていますよ。
また日常生活では、口の形や表情などから相手の話している内容を察知して話をする「口話」を使ったり、時には身振り手振りを使ったり、相手に合わせた方法でコミュニケーションをとるようにしています。
多様なコミュニケーション手段で柔軟に対応されているんですね。
そうですね。でも時には、聴覚障がいを持っているがゆえの困難にぶつかることもあります。
例えば、お買い物に行ったときなど「耳が聞こえないので筆談や口話などをしていただけると嬉しいです」と伝えても、なかなか理解してもらえないこともあったんです。公共の場で、ジッと見られることもありました。そんな時には、とても傷付き、耳が聞こえないことが本当に嫌になりました。
しかし、落ち込んでいても何も変わらないので、自ら進んでメモを使ってコミュニケーションを取るなど、積極的に動くことを心がけていました。最近では、聴覚障がい者のためのサポートを導入したコンビニが増えたり、筆談や手話も広まってきています。
少しずつコミュニケーションをとりやすくなってきたのを感じています。
目の前と向き合い、進み続ける。きっと自信につながるから
これからの目標を教えてください。
お仕事を長く続けることが、一つの目標です。今の会社や業務が、本当に大好きなんです!
GMOドリームウェーブ株式会社では、基本的にグループ会社から業務を受託していますが、昨年より外部企業からインターネット分野の業務受託も行っています。様々な業務に対応できるようになりたいので、新しい業務の習得にも懸命に取り組んでいます。
また、今社内で手話の勉強会も定期的に行っています。手話の魅力をもっと多くの人に届けられたら嬉しいなと思います。
プライベートも充実させたいですね。ショッピングが好きなので、友人たちと手話で会話しながら買い物をしたり、楽しんで毎日を過ごせたらいいなと思っています。
最後に、宮崎の若者へメッセージをお願いします。
生きていると、苦しいことや辛いことが沢山あると思います。でも、めげずに目の前のことに一生懸命向き合ってみましょう。
私は耳が聞こえないことで、人の目を気にしたり、相手から理解してもらえなかったり、思うようにコミュニケーションが取れなくて、辛く悲しい気持ちになる場面を何度も経験してきました。でもその度に、「それでもやるしかない。自分で前に進むしかない」と気持ちを切り替えて頑張ってきた。それらの経験が大きな自信になっています。
前向きに壁を乗り越えていくことで、きっと強くなれます!私も、笑顔で明るい気持ちを忘れずに、自分の好きなことに沢山挑戦しながら、これからの未来を楽しんでいきたいです。