宮崎工業高校生向け進路探究セミナーを実施しました!
CAREER
登壇:清山市長、中別府校長、宮崎工業高校OB(角野さん、阿満さん、泉口さん)宮崎工業高校「進路探究セミナー」
\「進路探究セミナー」ってこんなイベント!/ ■宮崎県立宮崎工業高等学校2年生とその保護者向けに実施 ■市長やOBの進路選択やキャリア形成についてトーク ■宮崎市内企業の現状、宮崎で働く魅力を知る 学生の質問に答えるトークセッションも行われ、学生たちにとって進路選択やキャリア形成について考える貴重な機会となりました。当日の様子をお伝えします。
宮崎工業高校OBの進路選択や企業紹介
2024年10月30日(水)に実施された「進路探究セミナー」。まずはじめに、宮崎県立宮崎工業高等学校の卒業生OB3名が登壇し、自身の所属する企業や高校時代の進路選択について話しました。
株式会社デンサン 角野智哉(かくの ともや)さん
電子情報科出身
ネットワーク構築支援やAI技術を活用したソリューションなど、IT分野において幅広い事業を展開している株式会社デンサン。宮崎空港近くに本社を置き、1966年設立の歴史ある企業です。MRT宮崎放送のグループ企業として、宮崎地域のインフラや産業において重要な役割を担っています。
株式会社デンサンへの入社のきっかけは、学科の先生に勧められたことでした。
会社を調べる中で興味がある分野だったので続けられそうだと感じたことや、福利厚生の安心感が理由で入社を決めました。
入社直後は不安でいっぱいでしたが、半年間のOJT (※1)研修があり、トレーナーと1対1で悩みを相談したり質問できたおかげで、徐々に不安を解消することができました。その後も先輩方にサポートしてもらいながらスキルアップを重ね、現在入社6年目でチームリーダーを務めています。チームメンバーと共に、やりがいを感じながら仕事に取り組んでいます。
土日祝日が休みなので毎週末にリフレッシュでき、有給休暇を利用して旅行に行くこともあります。仕事と休日で、スイッチの切り替えができるので、非常に有意義な毎日を送ることができていますよ。
※1.OJTとは、実際の業務を通じて学ぶ研修方法のこと。社員が具体的な仕事を行いながらスキルを習得することで、理論だけでなく実践的な知識も得ることができます。
宮崎エプソン株式会社 阿満祐大(あまん ゆうた)さん
生産システム科出身
宮崎市に拠点を置く宮崎エプソン株式会社は、国内外で事業を展開するセイコーエプソン株式会社(本社:長野県)のグループ企業です。最先端の技術と一貫した製造プロセスで、スマートフォンや自動車、通信機器などに欠かせない水晶デバイスを製造しています。
高校時代はサッカー部に所属していました。
2015年3月に宮崎工業高校の生産システム科を卒業。2015年4月に宮崎エプソンに入社し、今年で10年目になります。2017年から2019年9月の2年半は、セイコーエプソンへの出向も経験しました。
現在は製造部生産技術グループに所属し、作業を自動化して生産性を上げたり、工場で使用する生産設備の開発・改修など、システム開発による業務効率化に取り組んでいます。
私は宮崎県内での就職を希望していたので、県内企業の求人票を探して、宮崎エプソンへの入社を決めました。仕事内容より、給与や休日といった部分に注目して求人票を見ていました。
ラピスセミコンダクタ株式会社 宮崎工場 泉口涼(いずみぐち りょう)さん
電気科出身
ラピスセミコンダクタ株式会社 宮崎工場は、半導体製造を中心に事業を展開する企業です。高品質な半導体を生産しており、自動車・通信・産業機器など、多岐にわたる分野で利用され、国内だけでなく世界でも活躍しています。
ラピスセミコンダクタ株式会社 宮崎工場の20do企業図鑑情報はこちら!
2018年に宮崎工業高校電気科を卒業後、宮崎大学に進学。大学卒業後にラピスセミコンダクタ株式会社 宮崎工場に入社しました。
現在、2ヶ月間の海外出張に来ており、本日はタイから参加します。
私の働いているラピスセミコンダクタ株式会社 宮崎工場は、EVやクリーンエネルギーの分野を中心に、半導体製造を通じて社会貢献をしています。
ワークライフバランスの取れた就労環境が整っていることも、私がこの会社を志望した理由の一つです。年間休日126日、平均勤続勤続年数は21.5年と、この数字からも就労環境の良さが伝わると思います。
私は楽観的な性格で、高校時代は物事を深く考えることなく毎日を過ごしていたので、いざ進路を考える時期になって初めて、具体的な目標が何もないことに気づき、後悔しました。
学生時代に、将来について具体的に考え、人生設計を立てることはとても大事です。両親や先輩、先生など、たくさんの人に人生経験を聞くことで、具体的な人生設計が考えられるようになるのかな、と思っています。
清山市長の進路選択とキャリア形成
続いて、清山市長が自身の経験を通じて、進路選択やキャリア形成における重要な視点を学生たちに伝えました。
宮崎市長 清山知憲(きよやま とものり)
宮崎県宮崎市出身、 1981年生まれ。宮崎市立宮崎小学校、宮崎大学附属中学校、宮崎県立宮崎西高等学校を経て、東京大学医学部を卒業。医師として活躍しながらも、2011年から宮崎県議会議員として活動。2022年2月に宮崎市長に就任した。
進路選択のきっかけ:祖母のために、医師になろうと決めた
私は西橘通りのお蕎麦屋さんの息子として生まれ、市内の小中学校を卒業後、宮崎県立宮崎西高等学校に進学しました。その後、大学進学を機に10年ほど宮崎を離れた後、宮崎にUターンしました。
私が医師を目指すようになったのは、大好きな祖母のために仕事をしたかったからです。早い段階で医師になろうと決めていたので、私自身はキャリアに関して大きく悩むことはありませんでした。
ただ、自分の息子たちもやりたいことが見つからずに悩んでいて。なかなかやりたいことが見つからないのは大変だなと思っています。
学生時代の過ごし方:先を見据え、今すべきことを考えよう。偶発的な出会いを大切に
高校1年生の11月、"野田書店"という本屋さんに「大学の合格体験記」が平積みで置いてありました。それを手に取って読んだことがきっかけで「宮崎を出て、東京で勉強したい」という思いが強く湧いてきて。28年ほど前ですが、その瞬間のことを今でも覚えています。
そこから、本当にがむしゃらに勉強しました。西高で、学年で一番勉強したという自信だけはあります。
進学校の西高と言えども、周囲は遊びたい盛り。定期テストが終わったらカラオケに行ったりして遊ぶ人も多かったです。でも僕は「高校時代だけはとにかく我慢して、卒業後にやりたいことをやろう」と、目標を宣言して自分を追い込んでいました。
一人で気持ちを保ち続けるのは辛かったので、高校2,3年生の時には同じ目標を持った友達を誘い、土日に学校に集まって勉強会をしました。モチベーションが落ちたら、合格体験記を読んでやる気をチャージして、また勉強に励んでいましたね。
学生時代は遊びたい盛りで、やりたいこともあるかもしれません。でも先を見据えて自分は今何をすべきかを真剣に考えるのも大事だと思います。
こういう話を聞く機会や、本屋さんを見て回ってなんとなく手に取った本との出会いも大切だと思います。人との出会い、本との出会いは、その人の人生を決定づける重要な出来事です。
TikTokやInstagramのようなSNSは、自分の興味に合ったコンテンツが表示されますよね。でも、そうではなくて、興味がない分野での思いがけない出会いや発見、そういったものを自分からどんどん探しにいくことがすごく大事なのかなと思います。
キャリア形成:日本一厳しい病院へ。成果を上げる姿勢を大事に
病院に就職して1~2年目は、日本で一番厳しいと言われている沖縄県立中部病院というところで徹底的に鍛えられました。
非常にハードな生活で、朝早くに病院に行って採血をしたり、レントゲンを撮って患者さんを運んだりと、上の先生から言われたとおりにただ動くという日々を送っていました。でも、そんな中でも上の先生の仕事を見て一生懸命学び、一つ一つ考えながら工夫をして動いていました。
どんな会社に就職しても、こんなはずじゃなかったとか、すぐに「転職しよう」とか、他に目が向いてしまうことがあります。でも就職して少なくとも3年は腰を据えて、何かを学び取り、成果を上げようとする姿勢が非常に大事だと感じています。
キャリア形成:NYの病院勤務からのUターン。後悔しない選択を
右側はニューヨークの病院で働いていた時の写真です。
感染症専門医を目指してアメリカで仕事をしていたのですが、祖母が90歳になり「このままアメリカで感染症専門医になってしまったら、祖母を看取れずに後悔するかもしれない」と人生について真剣に悩んだのが27歳のときでした。
これが私にとっての大きなターニングポイントです。自分のキャリアを優先したことで、家族を助けられなかったり、家族のそばにいられなかったことで将来後悔したくなかったので、思い切って宮崎に帰ってきました。
宮崎に帰ったとしても、医療や社会的に何かインパクトを与える仕事をしたくて、医療政策や政治に携わりたいと考えました。それで、県議会議員になって、今は市長の仕事をさせていただいています。
家族はずっと元気でいるものだと当たり前に思いがちですが、いざ亡くなった後に後悔するんですよね。
実は今朝、長年うちのクリニックで診ていた患者さんをお看取りしてからここに来ました。100歳以上の超高齢な患者さんで、その時も「もっと顔を見せに来ていればよかったな」と後悔しました。
仕事も大切ですが、人生において家族も大事なんじゃないかなと思っています。
キャリア形成:市長選落選から、個人事業へ。起業支援の活用を
2018年に1度目の市長選挙に挑戦して失敗した後、医療の仕事をイチからやろうと思い、実家のお蕎麦屋さんの3階をリノベーションして、たった4人でクリニックを開業しました。
どうしても自分のやりたい職場が見つからないなら、個人事業主として自分で会社を興すというのも選択肢の一つです。宮崎県よろず支援拠点など、いろいろな起業支援がありますので、ぜひ活用してほしいと思います。
創業支援や販路開拓など、無償で相談ができる
宮崎県よろず支援拠点 https://yorozu-miyazaki.go.jp/
学生時代の進路選択:県内にも優良企業はある。人生を見据え、情報収集を
宮崎には、まだまだ知られていない優良企業がたくさんあります。
県外や海外で挑戦をするのも一つの選択肢ですが、将来どういう仕事や働き方があるのか、そして仕事だけではなく「どんな人生を送りたいか」をしっかり見据えてほしいなと思います。
私は大学5,6年生のときに全国の病院を周り、実際に自分の目で見て、最終的に沖縄県立中部病院で働く覚悟を決めました。その時にたくさんの病院を回りましたが、人材育成に対する姿勢が病院ごとに全く違うんです。
若い先生を育てたいと思っている病院であれば1日のプログラムがしっかりと決まっていて、ドクターが責任を持って案内してくれて、学生の質問にも真摯に答えてくれます。一方で、放っておかれたり、忙しいドクターに付いて1日ただぼーっと見ているということもあります。
そういったところを見て、この病院は研修医を大事にする病院だなとか、この病院で就職したら全然教育してもらえないな、というのを見極めていきました。
みなさんも、できるだけいろんな会社を直接見に行って、企業の情報収集をしてほしいなと思います。
10代〜20代は一番成長する時期。一生懸命勉強して、運動して、今しかできないような思い切った経験や体験を積み重ねて欲しいと思います。
清山市長×中別府校長×先輩社員のトークセッション
続いて、株式会社ことろどの森山義也さんをファシリテーターに迎え、「清山市長×中別府校長×先輩社員のトークセッション」が行われました。事前に行われたアンケートで学生から寄せられた進路やキャリアに関する質問に回答していきました。
質問①:興味のある分野はどう見つけた?
森山さん:中高生の時にやりたいことを見つけるって難しいと思うのですが、どのように興味のあることを見つけていったのでしょうか?
角野さん:私の場合は、中学生の頃からITに興味があったので工業高校に入学し、高校で3年間プログラミングを学ぶうちに、自分が進みたい道はこれだなと心の中で固まっていきました。
泉口さん:私は、高校時代に目標がなかったので、目標がないまま就職するよりは進学した方が良いかなと思い、大学進学を選択しました。
先生に進学先を紹介していただいて淡々と進路が決まって行ったんですけど、もっといろんな人から人生経験を聞いておけば良かったかなと思っています。
森山さん:いろんな人の話を聞くことで、視野を広げたり、いろんな選択肢が見えてきますよね。
質問②:県内に就職して良かったなと思う瞬間は?
森山さん:県内に就職して良かったなと思うのはどんな時でしょうか?
阿満さん:自分の家族にいつでも会えるというのが県内就職の良いところだと、この年になって思います。
清山市長:2人の子どもを育てていますが、おじいちゃんおばあちゃん、私の姉とみんなで育てられる環境というのはすごく良いなと思っています。
核家族で両親しかいなくて保育園にずっと預けて、という形もあるんですが、多くの家族がいる中で、家族みんなで自分の家族を育てたかったので。そういった意味では地元にいるメリットは大きいなと思いました。
質問③:県外進学時ホームシックにならないためには?
森山さん:県外へ進学して、ホームシックにならないためにはどうすれば良いですか?という質問もいただきました。いかがでしょうか。
清山市長:県外に出て、しばらくそこで頑張るんだと決めたら、宮崎出身の人ばかりの中にいるのではなく、新しいネットワークを作るようにしていました。
質問④:清山市長はなぜ医師から市長に?
森山さん:なぜ、病院の先生から市長になったのですか?
清山市長:目の前の患者さんを診ることもすごく好きだったのですが、医学生の頃から、医療をどうしていくかとか、この日本でどうすればもっと多くの人を救えるのか、ということを考えて国会議員や官僚の皆さんの勉強会に参加していました。
そういう方面にもともと興味関心があったのだと思います。
ネットで見るだけではなく、足を運び体感することを大事にしよう!
森山さん:市長は、自分の足で全国の病院を見て回られたとおっしゃっていましたよね?
清山市長:北海道、関東、宮崎、沖縄の病院を10箇所ぐらい自分の足で見に行きましたね。
病院でもそうなのですが、「会社を見せてください」「話を聞かせてください」と実際に自分の目で見てみることが大事だと思っています。その時に、一生懸命向き合ってくれるかどうかというところに、企業の人材育成に対する姿勢が表れると思うんです。
そのあたりも見ることができればいいんじゃないかなと思います。
中別府校長:これからの宮崎工業高校の取り組みとして、1年生からインターンシップを実施し、2年生では長期のインターンシップを行なっていきます。
また、本年度は、県外インターンシップとして、化学環境科の1年生が東京・千葉のコンビナート関係の企業へ行きました。
いかに高校時代、経験や体験をしていくか。学校内だけではなく、地域へ出て地域で学ぶ機会を設けていきたいと思っています。
森山さん:ネットでもたくさんの情報を得られる時代ですが、実際に外に出て、体験することが大切なんですね。
清山市長:ネットで見るのと、実際に行って自分の目で見るのでは、全く違いますからね。
まずは身近な企業に行ってみるなど、どんどん自分の足を使って情報を取り込んで欲しいなと思います。