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第1回宮崎市中学生キャリア教育アワード「みやざき未来発表会」を開催しました!

市内中学校25校のうち上位6校

令和6年2月16日(金)宮崎市民プラザのオルブライトホールで行われた、第1回宮崎市中学生キャリア教育アワード「みやざき未来発表会」(主催:宮崎市教育委員会 学校教育課、協力:宮崎市キャリア教育推進研究会)。市内25校の中学生が、総合的な学習の時間を中心に取り組んでいる「探究的な学習」の成果を発表するもので、映像審査によって上位6校が選出され、本選が行われました。

厳かな雰囲気の中で行われた

本選で選ばれるのは、最優秀校が1校、優秀校2校。どのような発表が行われ、最優秀校や優秀校にはどの学校が選ばれたのでしょうか?当日の様子をレポートします。

 

 

実施の目的と審査内容

出番を前に緊張した様子の生徒たち

VUCAの時代である昨今、受動的ではなく自ら考えて行動する、自分の意見をもつといった「主体性」が求められ、インプット以上にアウトプットに重点を置いた学習が必要だと言われています。今回、中学生自身が社会と関わる中で見つけた課題や、企業等から与えられた課題に対して、協働的に解決策や新たな提案を生み出した学習の成果を発表(アウトプット)することで、他校から学び、自身の成長や新たな発見などの更なる学びの向上や学びを深めることを目的として行われました。

審査員は、宮崎県キャリア教育支援センタートータルコーディネーター 水永正憲さん(写真左)、株式会社ウェブサイト 代表取締役 柳本明子さん(写真中央)、宮崎大学 教育学部 附属教育協働開発センター 准教授  小林博典さん(写真右)、以上3名の方に務めていただきました。

 

審査の評価点は、以下のように5つの視点から総合的に評価を行いました。

 

広瀬中学校:アプリ開発で、もっと活気あふれる商業地へ

トップバッターは、広瀬中学校3年生のお二人。企業から出された「宮崎市内の街なか(商業地)を活性化するには?」というテーマについて解決策を考案しました。「広瀬中地域セミナー」という授業の一環で、様々な事業者の方に関わっていただき、移住者の話を聞くなどして、試行錯誤を重ねたようです。

商業地の衰退の要因は様々。ギャップ分析という手法を使い、活気あふれる商業地を目指すためにそれぞれの課題に応じた解決策を細かく考えていきました。

様々な課題を「ギャップ分析」を使い整理した

若者たちが大型商業施設に流れ、なかなかまちなかの商業地が利用されていない中で、メインで提案されたのは「独自アプリ活用による誘客の促進」。課題分析の上「有料駐車場に関しては、歩いた歩数によって割引がなされるアプリ機能を活用する」など、それぞれの課題にあったアプリ機能を提案していました。

アプリのダウンロードに関しては、すでに宮崎市が提供するアプリの広告欄に絞って広報することで予算を抑え、効果を最大化するといった意見を述べていました。

驚いたのは、発表者二人の圧倒的なプレゼンテーション力!かなり練習を重ねられ、創意工夫がなされているものでした。途中、視聴者の気持ちを汲むような掛け合いを取り入れたり、座席に向かって質問をなげかけたりするなど、考え抜かれたクオリティの高い発表となりました。

 

住吉中学校:南海トラフ巨大地震に備え、地域とつながる

続いて発表したのは、住吉中学校2年生3名。今回課題としたのは、住吉エリアの「防災」です。

海にも近い住吉エリア。30年以内に80〜90%の確率で起こるといわれている、南海トラフ巨大地震の災害被害を最小限に抑えるため、自分たちがどのような取り組みができるか、地域の様々な立場の方(住吉地域まちづくり推進委員会関係者、経営者、農家、宮司など)の話を聞き、プランニングしていきました。

 

まずはハザードマップで津波や液状化被害の予測の詳細を確認し、クラスの皆に防災意識のリサーチを実施。もっと多くの人に防災についての関心を持ってもらい、意識を高めることで被害を最小限に抑えたいと考え、防災イベントの実施を計画しました。地域の方々と交流して、互いのつながりを深めることも狙いとし、炊き出し体験や救急方法の体験会、防災リュックなどの詳細を学べるブース、リーフレットの作成などを考案しました。老若男女幅広く、楽しく防災を学べるよう企画されていました。

審査員の小林さんからは「地域の課題解決に向けて、様々な地域の方と交流をしながら企画を考案されたかと思います。こういった学習を通して、コミュニケーション能力を高めていくことにもつながっていたのではないかと感じます。ご自身のコミュニケーション能力が高まったな、やっぱりコミュニケーションって大事だな、と感じたシーンがあったら教えていただけますか?」との質問が投げかけられました。

質問する、宮崎大学 教育学部 附属教育協働開発センター 准教授  小林博典さん

 

住吉中学校の生徒は『これまで交流のなかった地域の方たちとコミュニケーションを取ることで、今まで知らなかった住吉エリアの良いところや課題となるところを改めて知ることができました』との気付きを回答していました。

 

大宮中学校:地元の米をブランディング「KOMEKO(米粉)」

続いて、大宮中学校3年生の3名が発表を行いました。「K・O・M・E・K・O、コメコ!」元気な掛け声でスタートしたプレゼンテーション。会場の皆が一気に引き込まれていました。

大宮中学校区の池内地区で、「池内米」という米を作っており、その池内米をもっと広めるためにはどうしたらいいかと課題を設定。授業内で得た「ブランディング」の知識を活かし、商品化はもちろんのこと、広報PR手法についてまで考案していました。

実際に、素材の特徴を活かし、様々な商品を試作。

実際に施策した米粉商品の数々。食べた先生方にも好評だったとのこと

試作やリサーチを通して、米粉は「グルテンフリーで小麦アレルギーの方での食べることができる・血糖値が上がりづらい・咀嚼回数が多くなりカロリーも小麦粉に比べ低い」などのメリット。一方で、「発酵しづらい」といったデメリットも細かく分析していました。

米粉をブランド化し、地域の素材を取り入れた具材を挟むことで、ブランディング商品を開発することができる。そして、地域の特産物として開発することが、大宮地域全体を盛り上げることにつながると話す3人。地元の事業者にもこれらのプランを話し、販売に至るまでに乗り越えるべきこと(衛生面・許認可面・マーケティング視点)などのレクチャーもいただきました。

大宮地域を盛り上げるだけでなく、若者の米離れや小麦粉の高騰を乗り越える術としても有効だと話す、この企画。

仮説を立て、検証し、手順を追って実現可能なことを提言するまでのステップを踏めており、今後の夢や目標を実現するためにも活かせる動きだったのでは、との声が審査員の方からあがっていました。

 

赤江中学校:交通マナーを改善しよう!安全な赤江地域へ

赤江中学校からは2年生4名が参加。

赤江地域の課題は、登下校中の交通マナーなのではないかと考え、地域の交通安全についての課題解決を行おうと考案しました。また、実際に活動を行った様子が発表されました。

交通量も多く、登下校時に危険なエリアも多い赤江地区。まずは、警察署に出向き課題についての聞き取り調査を実施。実際に現場を見てリサーチや検証も行いました。危険なエリアを撮影し、適切な登下校中の交通マナーについて学年・学校内で情報を共有し、実際に改善を図ろうと動きました。

発表した生徒からは「警察署の方と話し、課題を知り、みんなの前で発表する。これらの経験は今までに経験したことのない動きだったので、良い学びになりました。」との意見が出ていました。

交通安全はどの地域に置いても重要なこと。また一歩間違えることで、後戻りできない事故につながってしまいます。生徒の目線で解決をしようと動き、声掛けがなされたことで、生徒同士の意識の高まりも期待できるものだったのではないでしょうか。

 

生目台中学校:私たちにできる生目台景観 SDGs

生目台中学校からは、6名の1年生がプレゼンテーションを行いました。

「私たちにできる生目台景観 SDGs」と題して、生目台の景観について景観に関わる仕事をする人や、建築士の方、まちづくり推進委員会の方々に聞き込みを実施。生目台が誇る山の美しさを保つために、自分たちでフィールドワークをし、ごみの問題や安全性について調査し、自分たちにできることを考えました。

実際に聞き込みやフィールドワークを行った様子は、動画に収められ、自らの手足を動かしながら課題解決策の考案に動いた様子が見て取れました。

唯一1年生のチームでしたが、メンバー皆堂々と客席に目線を送り、圧巻のプレゼンテーションを行っていました。

数多くの関係者に声を聞いた、生目台中学校の皆さん。

発表したメンバーの一人は「実際に外部の方に声を聞きに行くことで、生目台地域を守るためこんなに多くの方が動いてくださっているんだと初めて知ることができた。若い人の力を借りたいということも知ることができた。複数名のメンバーで一丸となってプロジェクトを進めていくにあたり、みんなの意見を一つにまとめることが大変だった。」などといった気付きをシェアしてくれました。

 

宮崎西中学校:ゲーミングゴミ拾い!楽しみながらゴミ問題を解決

最後は、宮崎西中学校2年生9名が発表。題目は、ゴミ問題についてでした。

ゴミ問題の解決には、「ゴミを捨てないこと」そして「ゴミを拾うこと」という当たり前のことを当たり前にできるような企画が考案されました。

まずは自分たちから、そして身の回りの人たちに波及していくように「手作りゴミ袋」や、宮崎県立宮崎大宮高等学校新聞部と共同で作成する「新聞」で広報していき、地域全体を巻き込んでいくプランを提案していました。

 

まるで本物のゲームのようなアニメーションを使ったプレゼンテーションが繰り広げられ、そのクオリティの高さには審査員も驚き。

webデザイン事業を行う審査員の柳本さんからは「IT業界でぜひ働きませんか?」という声がけもされるほどでした。

株式会社ウェブサイト 代表取締役 柳本明子さん

最も多い人数でチームとなっていた西中学校の皆さん。審査員の質問に対応する度に、円になり、共通理解をした上で、発表者が回答していました。また、発表後の感想を聞くと、複数名でプロジェクトに取り組むメリットやデメリットを感じていたようでした。

 

最優秀校は、生目台中学校!優秀校は、大宮中学校・宮崎西中学校

いよいよ結果発表。今回最優秀賞に輝いたのは、生目台中学校「私たちにできる生目台景観 SDGs」でした。

審査員長を務めた水永さんは「どれも素晴らしい発表で、感銘を受けました。3年生は受験など忙しい中でよく頑張っていたと思います。

最優秀賞の生目台中学校は、自分ごととして行動していた点が評価されました。実際に山に足を運び、関係各所にヒアリングし、フィールドワークを実施していました。1年生でよくやれたと思います。全員でそれぞれ分担されて進めていたというところも評価のポイントでした。

優秀校の大宮中学校は、探究の基礎となる仮説と検証の手順を追ってやれていた点が素晴らしかった。地域との連携がもっと深まるとより良かったと思います。西中学校は、周りを巻き込んでいくPR方法までしっかりと考え抜かれていました。また、極めてクリエイティブなプレゼンテーションで感動しました。そのクリエイティビティを認め、尊重した先生方の裁量も素晴らしかったと思います。

審査員長を務めた、宮崎県キャリア教育支援センタートータルコーディネーター 水永正憲さん

他の3校もそれぞれ素晴らしく、どれも甲乙つけがたかったです。皆共通して言えることは、プレゼンテーション能力がすごいということ。人に伝えていくということをこれからも続けていって欲しいと思います。

中学時代に探究の経験が積めたことは、とても素晴らしいこと。本来探究とは、書籍やデータをもって仮説を立て、検証し、また違ったら新たな仮説を立てて、その繰り返しをしてくことで本物に近づいていくもの。社会に役立つこの探究の知識や経験を活かして、活躍して欲しいと思います。

これからの新しい時代は、皆さんの感性で切り拓いていってください。我々世代が皆さんの感性に寄り添い、任せることを大事にしていきたいです。宮崎の未来が見えてきました!」と総評を述べました。

自ら課題を見つけ、地域とつながり、チームで連携して解決策を考え、大勢の前で伝える。どの経験も、大きな財産となって生徒たちを後押ししてくれることでしょう。これからの時代を、自らの手で切り開き、自分らしい未来を築いていってください!

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