体験型授業で学ぶ!重さの単位と暮らしのつながり
宮崎市立田野小学校3年生
小学3年生で学ぶ「kg(キログラム)」や「t(トン)」といった重さの単位。文字や概念としての理解はできても、自分たちの暮らしとのつながりを実感する機会は多くありません。
今回、宮崎市立田野小学校3年生約98人を対象に、重さの重要性や暮らしとの関連性を体感して欲しいと、キャリア教育を意識した算数の授業を実施。宮崎市の計量専門企業「株式会社 大坪計量器店」の協力を得て、2024年9月27日(金)に行われました。
当日の様子をお伝えします。
"体験・体感"が楽しい!を生み、学びを深める
黒木先生「キログラムやトンといった単位や重さは、普段の生活の中であまり意識することは少ないかもしれませんが、実際には私たちの身の回りで頻繁に活用されています。今回の授業では、子どもたちにそれを実感してもらい、学習したことが生活の中で生かされ役に立っていること、生活の中で"重さ"がどれだけ重要であるかを体感し、理解してもらうことを目的としています。
今回、こういった授業を実施したいと宮崎県キャリア教育支援センターキャリア教育コーディネーター長友はるなさんに相談し、宮崎市教育委員会キャリア教育推進アドバイザー今村絵梨さんと連携することで、形にすることができました。
そして、地域の企業である株式会社大坪計量器店の協力をいただくことができ、実際の計量器や仕事に触れる機会を持つことができました。子どもたちが計量について学ぶと同時に、こうした地域の企業の方々が、重さに関わる大切な仕事をしていることを知ることで、地域とのつながりを感じ、感謝の気持ちも持ってもらいたいと考えています。
学力調査の結果で、成績が良くても"勉強が楽しくない"と感じている子どもたちが多いことを知りました。勉強が何のためにあるのか、どのように役立つのかを実感することは、学びを楽しくする大切な要素です。特に、今回のような体験的な活動を通じて、子どもたちはより深く思考し、興味を持って学び始めることを期待しています。
今まであまり馴染みがなかった重さについても、体験することで、自然と学びが深まり、結果的に成績向上にもつながるはずです。この授業が、その第一歩となることを願っています。」
重さについてのおさらい
まずは、「重さ」についての基礎のおさらいからスタート!授業で習っている、グラム(g)・キログラム(kg)・トン(t)といった単位を復習しました。1グラムは1円玉の重さ、1トンは「車10台分」や「子象1頭分」と、具体的な物に置き換えて確認。黒木先生から児童へ「重さが生活の中でどのように役立っていると思う?」と投げかけられると、「料理のときに小麦粉を量る」や「体重計に乗る」など、身近なシチュエーションを答えていました。
“正確に量る”プロフェッショナル!株式会社大坪計量器店
続いて、協力企業である「株式会社大坪計量器店」の紹介が行われました。「株式会社大坪計量器店」は、宮崎市稗原町に拠点を置く計量機器の販売やレンタル、検査や修理を専門とする企業です。
まずは、社員の皆さんが制作したオリジナルのDVDが放映されました。
畜産用計量器「牛衡機」やトラックなどの計量を行う「トラックスケール」など、実際に事業で手掛ける様々な計量器が紹介され、それぞれの仕組みや使い方を学びました。楽しくわかりやすい動画で、児童たちも夢中になってスクリーンを眺めていました。
見て触れて感じよう!体験ブースで大盛りあがり
いよいよ、実際に重さや計量器に触れる時間です。3つの体験ブースに分かれ活動しました。
「重さ」を体験してみようコーナー
このコーナーでは、20kgのおもりや数グラムの小さなおもり、体重計を使い、児童たちが自ら重さを体感できました。大きな物から小さな物まで、重さの違いを体験し、「こんなに重いんだ!」という驚きの声が上がりました。
「分太」すごいぞコーナー
最後に、果物などの計量を行い、音声でサイズを伝える計量器「分太(ぶんた)」を使い、果物の重さを量る体験が行われました。自分たちで果物を計量器に乗せ、そのデータに基づいて選別する過程を学び、農業や食品業界での計量の重要性を感じていました。
吊りはかり、台はかりをみてみようコーナー
運動場に設置された「吊りはかり、台はかりコーナー」では、1トンのおもりをクレーンとデジタル吊りはかりを使って測定するデモンストレーションが行われました。児童たちは、目の前の迫力ある様子に感動!社員の方からは、計量の対象物が揺れていたり、土台が柔らかかったりすると正確な計量ができないことも教えていただきました。
正確に重さを量ることは、当たり前の生活を支えている
授業も終盤。大坪社長が児童たちに向けて、重さを正確に量る重要性についてお話されました。
大坪社長「重さが正確に量れなかったら、どんなことが起こると思う?」
児童「建物がうまく建たない」
大坪社長「そうだね。答えてくれた通り、重さがしっかり量れていないと、建物がぐらついてしまったりする可能性があります。他にも、果物や野菜の大きさに即した価格設定ができなくて、買う人が損をしてしまったりすることもあります。生活や産業の中で、色んな困ってしまうことが起きてしまうんです。
あまり知られていない重さの秘密で1つお伝えしたいのですが、実は計量器の設定って沖縄と北海道では違うんです。同じ重さのものでも、同じ計量器の設定で量ってしまうと0.15%北海道のほうが重くなってしまいます。重力加速度といって、重力と遠心力の影響を受けるんです。なので、計量器の設定は、国内だけでも16通りの設定があり、しっかり認定を受ける必要があるんですよ。
“重さを正確に量る”ことは、生活に密着した非常に大切なこと。だからこそ、重さはとっても楽しい!ぜひこれからも勉強をがんばってくださいね。」
児童たちは大坪社長の話を聞き、改めて計量の重要性や奥深さを知ることができたようです。
企業と子どもが共に学び合う体験授業
今回の授業を通じて、児童や企業の皆さんはどのような学びがあったのでしょうか。感想を伺いました。
川越さん「いろいろなはかりのことを知れてとてもうれしかったです!SやLなど、喋るはかり(分太)があってびっくりしました。」
黒木さん「はかりで、量れる重さが違うことがわかって、勉強になりました。運動場にあった大きなはかりでは、下が堅い場所だとちゃんとした重さが量れるけど、柔らかい場所だとそうではないことを知って、すごく勉強になりました。」
小野さん「色々なはかりの名前を知ることができました。今日の経験がこれからの勉強に役立つと思いました!」
児童たちは「重さ」の重要性を改めて理解し、今回の体験を通じて学びの楽しさを実感しました。計量器を使った実際の体験は、記憶に残る貴重な経験となったようです!
大坪社長「今回、地域貢献の一環として協力させていただきました。正直なところ、今までは、計量という仕事は地味であまり目立たないものだと思っていました。しかし、今回の授業を通じて子どもたちが楽しんで学んでくれた姿を見て、私たちの仕事が社会にとって非常に重要であることを再確認しました。
“重さ”や"長さ"を正確にはかる技術は、社会全体で不可欠なものであり、私たちの生活を効率的に支えています。授業では、子どもたちがそれを少しでも実感してくれたら嬉しいですね。」
今回の授業は、企業と学校が連携することで実現した素晴らしい取組でした。児童たちが体験を通じて「重さ」や「単位」に対する興味を持ち、また企業側にとっても、児童たちに自分たちの仕事の意味や技術の価値を伝える貴重な機会になったのではないでしょうか。
ご協力いただいた株式会社大坪計量器店のみなさま、本当にありがとうございました!