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20do特別企画「宮崎のサッカー少年が、はやぶさ2に至るまで」を実施しました!

CAREER

宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究所/ISAS宇宙科学プログラムディレクタ付 はやぶさ2拡張ミッション運用リーダー三桝裕也さん

今回は、20do特別企画としてJAXAの三桝裕也さんをお呼びし、宮崎市立赤江中学校全校生徒向けに講義を行いました。日本の航空宇宙開発政策の中核を担う国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)。宇宙科学研究所に所属する三桝さんは、宮崎市のご出身です。小惑星の一部を採取し持ち帰る「はやぶさ2プロジェクト」に参画し、世界的快挙をいくつも達成。プロジェクトの詳細や宮崎から宇宙開発へ携わるようになった経緯など、詳しくお話してくださいました。「宇宙開発やJAXAと聞くと遠い存在に感じる」との声があがった講義前。講義を通じて宇宙を身近に感じ、終始ワクワクする時間となりました。当日の様子をお伝えします。

 

サッカーとゲームや漫画が好きな、普通の少年だった

幼いころの三桝さん。中央と右の写真では、2歳下の弟さんとともに写っている
宮崎県宮崎市に生まれ、高校は宮崎県立宮崎南高等学校へ進学しました。幼いときに興味があったのは「サッカー」や「ゲーム」、そして「漫画」。宇宙はなんとなく不思議だなぁと思う程度の普通の子どもでした。 宇宙に初めて興味を持ったのは、高校時代でした。海外旅行に行く機会もあまりなかったこともあり、外に出てみたいという思いが強く、海外はもちろんのこと、宇宙にも行ってみたい!と思うようになりました。 そのとき知ったのが、若田宇宙飛行士です。
宇宙飛行士って純粋にかっこいいなぁと憧れを持ち、宇宙の世界を目指します。若田宇宙飛行士と同じ九州大学工学部機械航空工学科へ進学しました。
当時も続けていたサッカーやアルバイトで忙しい日々。しかし、大学時代も理想の宇宙関係の研究に携わることができるよう、かなり勉強を頑張りました。時には徹夜で勉強もし、目標としていた「航空宇宙工学コース」に進むことができました。 卒業後は大学院へ進学し、人工衛星作りなど宇宙開発に関する研究を続けます。そんな中、学会での出会いをきっかけに、九州大学大学院の研究室から「はやぶさプロジェクト」プロジェクトマネージャーを務めた、宇宙科学研究所の川口淳一郎先生の研究室へ移籍。世界初の小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の開発に携わることができました。 そこが私の中では大きな転機だったかなと思います。 それまで、自分が宇宙飛行士になって宇宙に行き、宇宙空間の綺麗な景色を見たいというモチベーションでした。しかし、人間が行ったことがある領域はまだ38万km離れた月まで。ロボットや探査機であれば、人類がまだ到達したことのない領域まで行くことができ、見たことのない景色を、人類で初めて自分たちに見せてくれる。 そういったところにモチベーションを感じるようになりました。 2011年に大学院を卒業後、ポスドクという期限付き研究者として宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社し、「はやぶさ2」の開発に携わるようになりました。

 

キャリアアップの詳しい流れは、昨年度取材した三桝さんの記事をご覧ください。

▶宮崎から宇宙開発の世界へ。未知なる道へのチャレンジ  https://20do.jp/article/27

 

「はやぶさ2ミッション」と「拡張ミッション」とは

小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星からサンプルを地球に持ち帰り、生命の源となった可能性のある有機物を調査するというのが大きなミッションでした。 有機物とは、炭素の構造式でできているもので、タンパク質など人間や動物の一番源となっている物質です。そういった有機物が宇宙から来たのではないかという説があり、それを証明するために、この探査機は打ち上げられたということになります。 はやぶさ2が到着した小惑星「リュウグウ」には、地球の生命の材料になったものがあるかもしれないということが、事前の研究観測からわかっていました。
そして表面にあるサンプルよりも、内側にある新鮮なサンプルの方がより価値が高いと言われていました。 宇宙空間というのは非常に極限の環境。温度の観点はもちろん、空気もなく、放射線を特に浴びてしまうような環境にあります。表面にさらされている物質は、もう既に劣化や酸化が進んでいたり、様々な理由で内側のサンプルを取るというのが大きな目的の1つでした。 では、どうやって内側のサンプルを取得したのかといいますと、「衝突装置と呼ばれる爆薬を積んだ装置を、探査機から分離して小惑星にぶつける」という運用を行いました。 衝突体が小惑星の表面にぶつかると、その爆発の衝撃で飛散物がたくさん飛んできます。ですので、探査機は小惑星の陰に隠れる必要がありました。探査機の代わりに、分離カメラという小さいカメラを分離し、爆発物に晒されながら写真を撮り、爆発した瞬間を探査機に送ってくるという運用を行いました。 実際の様子がこちらの動画です。

実際の業務の様子(「はやぶさ2」インパクタによる人工クレーター生成運用(2019/4/4-5) JAXA相模原チャンネル

分離カメラが撮影した小惑星に衝突した瞬間の画像がこちらです。
きちんと小惑星にぶつかった瞬間の映像を収めることができ、クレーターが開けられました。そしてそこから、サンプルを取ってこないといけません。 しかし、クレーターの真ん中にはたくさんの岩があります。この中に探査機を突っ込んでしまうと、岩が当たり壊れてしまうかもしれない危険性がありました。ですので、クレーターの真ん中に行くのは諦めて、数10メートル離れた地域にサンプルを取りに行こうということになりました。比較的安全な領域だと言われていましたが、それでもやっぱり大きな岩があり、ぶつかって探査機が全損してしまう可能性があることが、事前の観測からわかっていました。 表面探査ロボットが表面の状態を送ってくれたのですが、やはりどこも岩だらけ。こういうところに降りると、さすがに探査機が危ないんじゃないかと、チーム内で非常に議論したことを覚えてます。 それでも何とかしなきゃということで、「ターゲットマーカー」という光を反射させるボールを使って、小惑星表面に降りることを目指しました。
「ターゲットマーカー」と同じ素材でできた模型。光を当てると当たった方向に反射して光を返す
このターゲットマーカーを探査機から分離し、小惑星表面に落とし、まず探査機は安全な領域に退避させました。 そして、ターゲットマーカーが落ちた場所を事前に解析し、安全な領域や危険な領域を把握した上で、もう一度このターゲットマーカーに向かって降りていくという運用を行いました。ターゲットマーカーは15センチほど。小惑星の表面に置いて、20kmぐらい高いところまで離れ、そこからまた15センチのターゲットマーカーを見つけるのはかなり難しいのではないかと言われていました。 チームメンバーで「どうやったら精度よくターゲットマーカーを見つけにいけるか」を検討し、なんとかこの運用を実現することができました。 探査機の制御は、実は人力。人が地球の地上で、探査機の画像を見てモデルとマッチングするところを見つけて、じゃあ探査機はこの辺にいるはずだと把握し、それを探査機に送ってあげる。こういう作業をずっと繰り返して、ちょっとずつちょっとずつ小惑星に近づいていくっていう作業をやっていました。 結構ゲーム感覚で作業をやることができ、楽しくやれてたかなとは思います。
ゲーム感覚でやれて、探査機に制御コマンドを送るだけなんで、結構簡単そうに聞こえるんですけど、一つ問題がありました。 探査機がいる位置は、地球から見ると3億km以上離れたところ。月までの距離が38万kmと言われてます。かなり遠いことが分かります。 コマンドは光の速度で進むので、1秒間に30万km進むんですけど、そうすると月までは、1秒ちょっとで届きます。じゃあ、はやぶさ2がいる3億km離れている先ではどうかというと、光の速度で20分かかる領域なんですね。
そうすると、「今ここにいるから今こっちに動いてほしい」というコマンドを送っても、そのコマンドが探査機に届くのが20分後。そもそも降りてきた画像のデータを、今この瞬間見た時にはその画像は、もう既に20分古い画像になってるという不思議な世界になってます。 この時間遅れが、非常に探査機運用では難しいところでした。 画像データが届くまでの時間の遅れ(約20分)や作業時間(約25分)、コマンドが届くまでの時間(約20分)を考慮し、空気のない宇宙空間ならではの力「太陽光から光を受ける力」も加味し、1時間以上先の未来を予測して、どう動けば良いのかを探査機に指示を出していました。 1回のサイクルは、10分程度。実際にはその20kmから小惑星の表面まで降りていくのに20時間ぐらいかかります。この10分の作業を20時間かけて、みんなで交代しながら地上から探査機にコマンドを送って行ってあげていました。 そして、小惑星表面から50メートルぐらいの高さのところからは、探査機自身が自動で判断し、制御を行っていきました。ターゲットマーカーにフラッシュランプを当て、相対的に位置を理解。ゆっくりゆっくり小惑星表面に対して、タッチダウンを行いました。 自分達が地上でシミュレーションを行った通りに動いている映像を目の前にしたときは、非常に感動したのを覚えています。タッチダウンの精度は予想以上で、例えて言うと「富士山から静岡県の駿河湾の位置が30kmで、その1000万倍(=3億km)離れた位置から、富士山に登っている人を狙って当てることができた」レベルでした。
サンプルはカプセルに入れられ、無事帰還。地上で研究者が分析を行い、様々なことが今分かってきています。 リュウグウには実は昔、水が存在していたことがわかったと言われています。持ち帰ったサンプルの中には、実際に液体の水が含まれていました。宇宙から「液体」を持ち帰ったのは、はやぶさ2が世界で初めてでした。 そんなものが小惑星の中には含まれてたんだなというのも驚きでしたし、それを持ち帰ることができたっていうことも、我々も非常に誇りに思ってます。そして、元々ミッションの目的「生物の元となる有機物」を持ち帰りたいというところも、遺伝子の元となる有機物ウラシル(DNAと並ぶ、RNAという物質の一種)もリュウグウサンプルの中に見つかったという結果が報告されています。 遺伝子の一部が見つかったと言っても過言ではないわけです。 もしかしたら宇宙から生命の起源が地球にもたらされて、我々がそこから発展して、今こういう生活をしているのかもしれないというようなことがわかったことになります。サンプルの分析も非常にうまく行き、パーフェクトミッションだったんじゃないかという風に言われています。 では、このはやぶさ2のプロジェクト成功の秘訣は何だったかというと、困難なことが起こっても誰も諦めずにどうやったら成功できるかを考え続けたこと。そして、チームメンバーはそれぞれが自分にできることを探し、足りないところは補い合って、一つの目標に向かって走り続けたことがあると思います。
そして今、はやぶさ2は別の軌道に乗り、拡張ミッションを行っています。 紹介VTRをお見せしたいと思います。

「はやぶさ2」新たなる挑戦 ー拡張ミッションー  JAXA相模原チャンネル

最初にやってくるハイライトは2026年7月。小惑星のフライバイというミッションを行います。これは小惑星を通り過ぎるだけなんですけども、秒速5kmで通り過ぎるんですね。ぶつかったらもちろん壊れちゃうので、ぶつからないよう、しかし、結構接近しないときちんと写真が撮れないので、ギリギリを狙ってフライバイさせたいと考えています。 その後2027-28年には、地球スイングバイと言って、地球に戻り地球の重力を利用して軌道を制御するという操作を行います。 そして、2031年の7月に最終目標天体の小惑星にランデブーします。リュウグウと同じように近付くという運用をやろうとしています。
2031年というと私は、48歳になっています。今日聴いてくださっている中学3年生が、今年15歳という方が多いと思いますが、23歳になる頃の出来事です。 なので、若い世代の育成が必要不可欠で、私が今日こういう風にお話ししてるのはぜひとも同じ宮崎出身の皆さんに宇宙に興味を持っていただき、私達と一緒にミッションにチャレンジしていただきたいという思いがあります。 皆さんがJAXAや、九州内の宇宙開発関連事業を行う企業に就職され、宇宙開発に携わっていただけることを強く願っています!

はやぶさ2拡張ミッション 

▶https://www.hayabusa2.jaxa.jp/

 

生徒からの質問タイム「宇宙人はいる…?」

講義の後は、生徒からいただいた質問に回答していただきました。ここからは、今年度取材20doで取材したラジオパーソナリティ・コレナガカオリさんに司会進行を務めていただきました。

コレナガカオリさんの記事はこちら

▶夢への一歩は、口に出すこと。好きは力に変わるから https://20do.jp/article/42

ラジオパーソナリティ・コレナガカオリさん JAXAの仕事の魅力は何でしょうか?
日本の宇宙開発に携わる団体としては、国内で最も大きい団体だというところ。そして、会社の社風というか風潮として、色々なことにチャレンジさせてくれるっていうのが大きいところかなと思います。 自分達がやりたい研究とか、宇宙開発に対して、「こういうことをやりたい」と言った時に、その内容が認められれば予算が付きます。それをやってみよう!というチャレンジ精神に溢れています。 社員それぞれが、かつて宇宙飛行士を目指していたり、人工衛星をやりたくてだったり、何かしら宇宙に対して非常に高いモチベーションを持って入っている方が多いです。なので、一人一人の個性も強いんですけど、レベルも高いかなと思います。
JAXAで働く人たちはすごく頭のいい人しかなれないような気がしますが、どんな人たちがいますか?
一定のレベルまでは学力が求められると思います。一方で、そのある一定のレベルを超えてくると、人間力や他者と上手くコミュニケーションが取れるかなどの基本動作や、自分の仕事に対して誇りを持ちつつしっかりやってくれるかなど、そういったところが面接などでは見られてるんじゃないかなというふうに思います。
コミュニケーションは大事だと思いますが、英語力は必要ですか?
はやぶさ2のミッションチームには、NASAの方やフランスの方など数多くの外国人の方が参加されていました。国際協力の中でプロジェクトを進めていく部分があるので、コミュニケーション取る際には、どうしても英語で話をすることが必要になります。 しかし、私自身実は英語はあまり得意ではありません。日常会話程度は話せますが、専門的な話を深く話そうとすると難しくなってきます。でも大事なことは、英語を上手に話せて通じることはもちろんあると思いますが、それ以上に「ここをこうしたいんだ」という思いがあること、そしてその思いをきちんと伝えようとしているかというところが、非常に大事なところだったかなというふうに思いますね。
一番目立ちにくく、影で頑張られているような役職はありますか?
メディアに取り上げていただいたり、皆さんの目にするようなところに出てくる映像とかっていうのは全体の10%程度。残りの90%は全然見えないところの仕事になります。 例えば、先ほど探査機の運用でいうと、運用を実行するのに探査機に対して送る数万行というコマンドがあるのですが、コンピューターにも限界があり、最終的には人間の目でチェックしないと抜けや漏れが出てきてしまいます。 それをミッションフェーズ中はひたすら我々が裏で間違いがないかチェックし、登録作業をやっています。 こういった見えてないところの方が、実は重要なんじゃないかなと私は思いますね。
「自ら動く」とありましたが、私はなかなか勇気が出ません。何か一歩動き出すためのことがあるのですか?宇宙で何かをしようとすると、お金も時間もたくさんかかるし、失敗が許されない、失敗した時はとても大変なことだと聞きました。プレッシャーがとても大きいと思います。どう対処しているのですか?私は普段、失敗が怖くて動き出せません…とのご意見もいただきましたが、いかがでしょうか?
酌み取っていただいているように、我々のこの運用も、非常にプレッシャーが強かったです。衝突装置を小惑星表面にぶつける運用なんていうのは、失敗すると本当に探査機も壊れちゃうような運用なんですよね。そうすると責任者ももちろん、私自身もかなりプレッシャーを受けながらやっていました。 特に、宇宙開発の中で重要なのは「準備」です。準備をいかに広く深くやれるか、というのが大事だなと思っています。コマンドのチェックももちろん、コマンド作るためのシミュレーションなど、目的を達成するための準備にかなり時間をかけてます。 なので、何か今からやろうとしていることに対して、どれだけ準備できるかっていうのが、自分の自信につながるんじゃないかなと思います。例えば、情報収集など。目的を達成するための準備を、できることは全部やったらいいのかなとは思いました。
「準備」は、どんなお仕事でも本当に大事ですよね! 私たちラジオパーソナリティも、アドリブのように見えて実は常に入念な準備をしています。入念に準備をすることで、自信につながり、背中を押してくれますよ。
赤江中学校生徒 宇宙人はいると思いますか?
とても良い質問ですね。ここに現在わかっている、宇宙の範囲を表している動画があります。

The Known Universe by AMNH American Museum of Natural History 

まず地球の映像から始まり、地球の周りを人工衛星が回っている軌道が描かれている。まだまだ離れていくと、月の軌道が見えてきます。そこからさらに離れていくと、太陽や太陽系の姿が見えてくる。 光の速度で1年行った先には、周りの恒星が広がっていて、それがたくさん集まってくると、星雲のような形になり、それが銀河になります。同じような銀河が複数あり、宇宙が広がっているっていうのが分かります。 天文学の先生に聞くと、そもそもこの一つ銀河の中に100億個以上星があるそうです。そして、100億個以上の星が集まる銀河もまた、100億個以上あるそうなんです。 そうであれば、そのどこか1個には、何か地球のような環境があって、生物が生きててもいいんじゃないかって思いますよね。人間よりも知能が高い生物がいても全く不思議じゃないんじゃないかな、という風に私は思っています。

追加回答:生徒からの質問

講演会内で回答できなかった質問の中から、追加でいくつか回答をいただきました。

 

■勉強に関すること

学生時代は何の勉強が得意でしたか?
小中学校では、「理科」が好きでした。高校に入ってからも、やはり「化学」や「物理」が好きで、頑張って勉強するようになってからは「数学」も楽しくなっていきましたね。
勉強はどれくらいしましたか?社会で役に立つ教科は何だと思いますか?
中学・高校時代は、部活のサッカーに打ち込み過ぎて、帰宅後は疲れてすぐに寝てしまってました。受験前には、さすがに授業時間以外に1日何時間も勉強していましたね。でも睡眠はちゃんととって、頭をすっきりさせて勉強した方が良いと思います。 社会で役に立つ、というか、今の自分の役に立っているのは、数学・物理・化学・国語・英語・・・他の教科も直接的では無いにしても、無駄になっていることはないように思います。

■キャリアに関すること

どうやったらJAXAで働けますか?
ある程度の学力は必要です。ただ、それだけでは入れないので、勉強だけでなく、友人と遊んだり、部活に一生懸命に打ち込んだりすることで、「コミュニケーション能力」や「社会性」を身につけてもらえると良いと思います。
中学生に対するこれからのアドバイスはありますか?中学生・高校生の頃の得意分野などが今のJAXAでの仕事につながることはありましたか?
何でも良いので、何か一生懸命にやれることを見つけてほしいです。部活でも勉強でも趣味でも。 私は、高校まで宇宙のことにもさほど興味がなく、ひたすらサッカーに打ち込む日々でしたが、一生懸命部活をやっていたことが、今の仕事で一生懸命やる姿勢に結びついたかなと思います。
このような仕事に着くまでにどのような資格や検定を取りましたか?
私の場合は、JAXAに入社するために資格や検定は受けていません。もちろん、色々取得しておくことで多少有利に働くとは思いますが、JAXAに入るために必要な資格などはないと思います。 ただ、私は大学院まで進んで、博士号を取得しましたが、研究をやる上ではこの博士号は取っておいて良かったなと思います。しかし博士号を取ったからといって、JAXAに必ず入ることができるわけではありません。

■宇宙に関すること

好きな星や惑星などはありますか?
二重小惑星や三重小惑星と呼ばれる、複数の小惑星が同じ場所にあるような天体が好きで、そういう小惑星をいつか探査したいなと思っています。あとは、太陽系から最も近いと言われる、4光年先のアルファケンタウリという恒星の周り回っている、惑星に生命体がいるのかどうかはとても気になります。

■マインドに関すること

可能性がないけどそれに挑戦したい時はどうしますか?
「可能性がない」というのが自分の思い込みかもしれないので、やってみたいことには挑戦すると思います。
大事にしていることは何ですか?
色々迷ったり、モチベーションが下がったりするときには、初心に帰ることを心がけています。 元々自分が本当にやりたかったことは何か、何のために今の仕事や勉強をしているのか、時折思い出すことがとても大事だと感じます。

■JAXAのお仕事について

普段は主に何をしていますか?
普段は、はやぶさ2の運用と運用に必要な準備作業を行っています。 はやぶさ2に送るためのコマンドのチェックなどもありますが、その他、はやぶさ2の将来実施する運用の検討やプロジェクトの資金管理、はやぶさ2を皆んなに知ってもらうための広報活動など、仕事の内容は多岐に渡ります。
JAXAと他の仕事のいちばんの異なる点はなんですか?働いていて何がモチベーションになりますか?
自分がやりたいことにチャレンジさせてもらえることかなと思います。 ファンの方々からの応援メッセージや、直接いただけるお声掛けで、とてもモチベーションを上げられます。絶対に次のミッションも成功させてやるぞ、という気持ちにさせてくれますね。
JAXAの仕事をしていて、嬉しかったことはなんですか?
やはり、はやぶさ2がタッチダウンや衝突装置の宇宙実験を成功させた時のように、一緒に頑張ってきた仲間と成功の喜びを分かち合う瞬間がたまらないです。 この瞬間のためであれば、どんなに苦しい仕事でも頑張れるなと思います。
何の勉強をしたらJAXAの仕事につけるのですか?JAXAの仕事に就くために、面接などはあるのですか?宇宙飛行士の免許はあるんですか?
JAXAの中にも様々な部署があって、宇宙のことだけじゃなく、例えば英語や法律、経済のことを勉強していた人がJAXAに入ってくることがあります。 そう考えると、どんな勉強をしていても、ある一定の学力に到達して、宇宙への情熱があればJAXAに入れるのかなと思います。 もちろん、就職試験では面接もあります!宇宙飛行士は免許というわけではないですが、宇宙飛行士になるための過酷な試験が多くあると聞きますね。
はやぶさ2が小惑星に行くのに4年かかったのに、帰りは1年で帰れてたのはなぜですか?
はやぶさ2が太陽の周りを公転しているのと同時に、地球も太陽の周りを公転しています。そうすると、タイミング次第で、小惑星に遅く着いたり、地球に早く着いたり、ということが起こるのです。逆のケースもあります。
今進行中のプロジェクトはありますか。
JAXAの中で進行中のプロジェクトはたくさんあります! 例えば、私がいる相模原キャンパスで進んでいるのは、月面に着陸するSLIMプロジェクト、火星の衛星であるフォボスからサンプルリターンするMMXプロジェクト、小惑星フライバイを行うDESTINY+などがあります。

■SLIMプロジェクト https://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/index.html

■MMXプロジェクト https://www.mmx.jaxa.jp/

DESTINY+ https://destiny.isas.jaxa.jp/

 

ご多忙の中、たくさんの質問にご回答いただき、ありがとうございました。遠く感じがちな宇宙の世界を、身近に感じる貴重な時間になりました。今後の三桝さんのご活躍、宮崎から宇宙の道を目指す次世代が増えることを楽しみにしております!

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