第3回宮崎市キャリア教育推進プロジェクト会議を実施しました!
市内キャリア教育担当者
宮崎市キャリア教育の充実を図ることを目的に実施されている「宮崎市キャリア教育推進プロジェクト会議」。各学校や民間企業のキャリア教育担当者、宮崎市の関係各課などのメンバーが集い、キャリア教育事業についての情報交換や協議、連携の状況などを確認しています。
令和6年2月21日(水)に行われた第3回目の会議では、令和5年度に行われた事業の振り返りと次年度に向けた取組の立案などが行われました。
参加者一覧
今回の会議には、以下のメンバーが集まりました。
■宮崎商工会議所 広域振興部 次長 時任 將彦氏・広域振興部 係長 塩屋 翔一氏
■K・P クリエイションズ株式会社 地域ブランディング事業本部 本部長 工藤 裕作氏、渡部 真由氏
■宮崎労働局 雇用企画係長 阿部 光枝氏
■ハローワークプラザ宮崎 統括職業指導官 後藤 貞友氏
■宮崎市観光商工部 企業立地推進課 雇用対策係 主任主事 前田 拓真氏
■宮崎市教育委員会 企画総務課コミュニティ・スクール推進アドバイザー 田代 和浩氏
■生涯学習課地域学校協働活動担当 社会教育指導員 吉冨 俊文氏
■宮崎市教育委員会 学校教育課課長補佐 田中 美津枝氏
■宮崎市教育委員会 キャリア教育推進アドバイザー 今村 絵梨氏
※オブザーバー参加
■宮崎県教育研修センター 教育支援課 指導主事 石川 浪子氏
■宮崎県キャリア教育支援センター キャリア教育コーディネーター 長友 はるな氏
基本的な指針と本年度の取組「一人ひとりを大樹のように育むために」
宮崎市教育委員会 学校教育課課長補佐 田中 美津枝氏「まずは、本年度の基本的な取組についてお話します。宮崎市では、“これからの時代を生き抜く宮崎市の子どもの姿”について、自分や地域の課題に向かって、他者と協働しながら、主体的・創造的に解決し、自ら未来を切り拓く子どもとしています。
図のように全体像を捉えており、大樹のように子どもたち一人ひとりを育むことを目標とし、学校や家庭、地域住民が根っこのように互いにつながり、①〜⑤のような能力を高めていきたいと考えています。
そこで本年度は、未来を拓くをキーワードとして、自分の生き方とふるさと宮崎をつなげることができる子どもを育てることを目的として、各学校で活動に取り組んできました。子どもたちにアンケートを実施すると『具体的に未来でどのような姿を目指すのか、見つけ出すことが重要』だということが分かっています。そこで、6つの柱でキャリア教育を行ってまいりました。
①夢ワーク21
まず、市内の中学生を対象とした職場体験学習『夢ワーク21』を行いました。
・職場体験:事業所での職場体験を軸として、講師による職業講話や体験学習への取組を実施しました。市内25校中、10校が実施。次年度はより増加する予定です。
・ゆめパーク:宮崎市企業立地推進課と連携した体験学習『学校版ゆめパーク』を市内9校で行いました。
・職業講話:今年度は4校からキャリア教育推進アドバイザーに依頼があり、清武中学校に6名、田野中学校に8名、宮崎西中学校に20名、木花中学校に8名、講師を紹介いたしました。
・教育支援教室:不登校生徒が通う教室の対話型キャリア教室を行いました。
・ひなた場:宮崎県が行うキャリア教育プログラム。高岡中学校で初めて実施しました。生徒も大人も皆人生グラフを書き、辛かったときや楽しかったときの思いの共有や乗り越え方などを通して、深い対話を行いました。生徒も大人も前のめりで、学校と地域の絆が深まったようでした。
②中学生キャリア教育アワード『みやざき未来発表会』
また、本年度初めての試みとしてキャリア教育アワード『みやざき未来発表会』を実施しました。課題の設定→情報収集→整理・分析→まとめ・表現といった探究サイクルを活用した学習を経て、それぞれの生徒の学びを発表するもの。市内25校の予選を勝ち抜いた6校のチームが決勝の舞台で発表しました。
事後のアンケート結果では、『また実施して欲しい』などおおよそ95%が肯定的な意見をいただきました。一方、プレゼンテーション時間や実施要件などについて改善案もいただきました。ご意見を受けて、より良いものにしていき、次年度につなげていきたいと考えております。
③小学校向けキャリア教育授業
次に、小学校でのキャリア教育での授業も行われました。青島小学校では『こどものくにバラ園』が一層盛り上がるようなプランを児童が考案。キャリア教育推進研修会を通して教職員が学んだ、螺旋的な探究プロセスが活かされ、探究が行われていました。
情報収集や整理の仕方についてもまとめられていましたので、ぜひ他の小学校にも伝えていきたいと思っています。
④教職員向け:キャリア教育推進研修会
教職員向けには、専門家を呼び、キャリア教育について学ぶ機会を作りました。筑波大学のキャリア教育学を専門とする藤田晃之教授に依頼し、『令和時代のキャリア教育』という題目で講義を行っていただきました。社会変化の動向、産業構造や人口の推移などの視点から、今後のキャリア教育で大事にすべきことについて学ぶことができました。
現在行っているキャリア教育に対する助言もいただきました。
⑤教職員向け:キャリア教育推進研究会
小学校、中学校からそれぞれ4名ずつ研究員として委嘱し、研究会を行いました。学校ごとにキャリア教育に関する課題を設定し、指導法や関係機関との連携について実践研究を実施しました。主に、『探究的な学習プロセスのあり方』や『キャリアパスポートの電子化(令和7年度予定)』を視野に入れた有効活用などについて研究が行われました。
⑥関係各所との連携:宮崎市キャリア教育推進プロジェクト会議
市役所内関係部署や市内企業との連携も強めています。この会議後にも、協力企業とのミーティングを実施予定です。
また、6つの柱を支えるキャリア教育支援センター的役割として、定期的に『庁内連絡会議』を実施しています。加えて、広報についても力をいれており、宮崎市若年層向けwebメディア『20do(にじゅうど)』上での活動を発信。来年度は、各学校が記事をまとめてアップできる仕組みに移行予定です。また、宮崎市キャリア教育に関するリーフレットの発行も予定しています。」
「みやざき未来発表会」振り返り
先日行われた「みやざき未来発表会」を受けて、今後の発展のヒント、各関係者の思いや連携の余地などはないかについて協議が行われました。
宮崎商工会議所 広域振興部 次長 時任 將彦氏「現場に足を運び見ていましたが、これが中学生か!と驚かされました。ブランディングという言葉も出ていて、素晴らしいなと思いました。これからもぜひ続けていって欲しい取組ですね。
各学校によって、選考の手順などに異なりがあったのかな、と感じたので、統一されるとより良いのかなと感じました。」
宮崎商工会議所 広域振興部 係長 塩屋 翔一氏「市内の大学での事例なのですが、授業の一環で"地域貢献プロジェクト"として地域に関す
る課題を解決する取組があるのですが、そこでリアルに社会を動かした事例がありました。
フィールドワークをする中で、学生たちが商店街の方に話を聞き、設置されているデジタルサイネージ(※)の騒音やコンテンツに関する課題があることを知ります。そこで、解決しようと動いている様子をマスコミに取り上げていただきました。そのことによって、警察も着目。警察署で取組の成果発表を行うなど、実際に警察や行政が連携し、改善に向けて動き出す流れになったのです。
こういった形で、プレゼンテーションのみならず、"実際に"街の課題が学生たちの動きによって解決される流れになると、学生にとっても社会にとっても、より良いのではないかと思いました。」
※デジタルサイネージとは、屋外、公共空間など、あらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って、情報を発信するメディアのこと
情報交換:各機関の取組や課題
続いて、各機関のキャリア教育に関する取組や課題感もシェアされました。
K・P クリエイションズ株式会社 地域ブランディング事業本部 本部長 工藤 裕作氏、渡部 真由氏「今年度は、キャリア教育冊子の贈呈式を市内小学校に行いました。また、大宮中学校に10社の方をお招きし、出張授業=職業体験を行いました。宮崎西中学校の職業講話にもご協力させていただきました。来年度は、贈呈式のみならず、職業体験も兼ね合わせたスタイルに進化させたいなと思っています。
冊子については、教育委員会の皆様にも読んでいただき、そこからヒントを得ていただけたらいいなと思っています。」
宮崎労働局 雇用企画係長 阿部 光枝氏「本年度は、宮崎県の事業で、都城市にある企業の業界の紹介を行うものに参加しました。学生さんにとってハローワークに来たら企業情報が分かるという概念がまだあまりないと思いますので、より認知を高めていけたらと思っています。」
宮崎県キャリア教育支援センター キャリア教育コーディネーター 長友 はるな氏「我々は、市町村との連携を取りながら、県内全体のキャリア教育を推進する機関です。
本年度は、高校での事例になりますが、宮崎商業高校『職業人インタビュー』の企画や運営に携わりました。宮崎で活躍する働く大人たち28名に参加いただき、高校生が職業人としての働き方や生き方などについてインタビューをするというもので、本年度は20doとも連携し、インタビュー後に書いた記事で選ばれたものがメディア上に掲載されるという内容でした。事前に記事制作のレクチャーも行い、選ばれたものだけが実際に掲載されるということで、かなり生徒たちのモチベーションも上がったようです。」
宮崎市観光商工部 企業立地推進課 雇用対策係 主任主事 前田 拓真氏「中学生から市内の事業所を知ることを目的として実施している、ゆめパーク。若者の流出などの課題がある中で、より地元企業の魅力を知る必要があると感じています。そこで中学生という早い段階から仕事の体験や地元で活躍する方々とのふれ合いを通して、地元企業の仕事や働くことの魅力を知り、働くことをより身近に感じてもらうことを目的としています。
昨年度は各学校で実施し、夏の開催で空調のない体育館が暑かったなどのご意見もいただいているので、次年度は一層の改善を行っていきたいと思っています。
また、宮崎労働局、宮崎県及び宮崎市の共催で、宮崎県就職説明会等を開催しているのですが、これまでは就職活動をする方だけが対象で、高校生から問い合わせがあった場合お断りしていました。しかし、もっと間口を広げ、高校生でも参加できるように変化しました。より若年層から市内企業への関心を高めていけるようにしたいと考えております。
宮崎商業高校の事例は、高校の担当の先生ともお話もしたのですが、長友さんがおっしゃったとおりメディアに掲載することがやる気につながっていたとのことでした。当課が持つメディアでの掲載など、そういった部分もご協力できたら嬉しいです。お気軽にご相談いただきたいですね。」
宮崎市教育委員会 企画総務課コミュニティ・スクール推進アドバイザー 田代 和浩氏「地域の方や保護者の方、キャリア教育に携わっていない先生など、幅広い方々に活動について知っていただくか。それが重要だと思っています。
また、プレゼンテーションなど中学生が取り組む内容に関して、大人と同様のレベルでフィードバックをするのではなく、どこまで中学生に求めるのか、という塩梅を定めることも大事なのではないでしょうか。一面だけを見るだけでなく、総合的に理解していただくためにも、実際にキャリア教育を実施している様子を保護者や地域の方に参観していただく機会が実現できれば、と思います。」
未来をつくるキャリア教育。意義ある教育を、強い連携のもとで
宮崎市教育委員会 学校教育課課長補佐 田中 美津枝氏「やってきた内容が形になってきて、これからまた深まりが出てくる活動になっていくのではないかと思います。
みやざき未来発表会で、ある学校の生徒たちがリハーサルで先輩たちの良い手本を見たことで、本番に発表スタイルがブラッシュアップされたことがありました。先ほど高校生の取組について話されましたが、そういった様子を中学生に見せてあげられると良い刺激になるのではないかと感じました。しかし田代さんがおっしゃったように、中学生の発達に合わせた場合にどこまで求めたらいいのか、まだまだ協議が必要だと思っています。
また次年度以降は、限られた学校だけでなく、市内25校全てに様々な機会を与えられたらと思います。
3年前、宮崎市には様々な資源があり、様々な業種の企業さんがいらっしゃる一方で、学校との距離がまだ遠かった。そこを課題に感じ、今村さんを始めとした人員を増員しました。今年で3年目に入り、そして今回で本年度3回目を迎えるキャリア教育推進プロジェクト会議。委員から、成果が出てきているとお話いただき、嬉しく思います。多様な方が携わることによる学びの広がりはとても大きいと感じております。今後とも色々な場面でご協力いただけますと幸いです。」
キャリア教育推進アドバイザー 今村 絵梨氏「この会議は、宮崎市キャリア教育のために様々な方に幅広く関わっていただいており、感謝申し上げます。また、このような連携体制があることを広報していきたいとも思っています。今後とも連携を強めていきたいので、来年度以降もどうぞよろしくお願いいたします。」
本年度の取組を受け、来年度はより一層関係者の連携を強め、深まりのあるキャリア教育へと発展していきます。キャリア教育は、学校だけではなく、地域や保護者、様々な事業者の皆様の協力があるからこそ成り立つもの。ぜひ子どもたちの未来のために、ご理解ご協力を賜りますと幸いです。
今後の動きも20doで発信していきますので、ぜひご注目ください!